Kaby Lake世代の爆速ゲーミングノート「GT62VR 7RE Dominator Pro」実力検証(2/3 ページ)

» 2017年01月06日 16時30分 公開
[石川ひさよしITmedia]

Kaby Lakeのポイントはクロック向上やメモリの高速化

 それでは内部のパーツ構成に目を向けてみよう。まずは目玉であるCPUだ。本製品が搭載するCPUはCore i7-7700HQ。Hyper-Threadingにも対応しているので4コア/8スレッドのモデルだ。

 GPU-Zで見ると、定格が2.8GHz、Turbo Boost時のクロックが3.8GHz。モバイルではCore i7も多数のモデルがあるので単純比較することが難しいが、百の位が同じCore i7-6700HQと比較すれば、定格側が200MHz、Turbo Boost側が300MHzほど高クロックだ。TDPはどちらも45W。加えてメモリも従来までのDDR4-2133からDDR4-2400へと引き上げられることで、クロック+αのパフォーマンス向上が見込める。

CPU-ZによるCore i7-7700HQのスペック。定格は2.8GHz、Turbo Boost時は最大3.8GHz、そして6MBのLLCを搭載。メモリはDDR4-2400 SO-DIMM。8GB×2枚の構成でデュアルチャネル駆動している

 GPUはGeForce GTX 1070。「M」の付かないノートPC向けモデルとなっている。デスクトップ向けGeForce GTX 1070よりもCUDAコアを増やし、クロックを下げて電力の調整を図ったものだ。デスクトップ版同等とまではいかないが、かなり肉薄するパフォーマンスであり、従来の「M」付きモバイルGPUのように1つ下のセグメントのパフォーマンスとなるようなことはない。

 なお、本製品ではGPUは固定。常にGeForce GTX 1070側が利用される。グラフィックスメモリもGeForce GTX 1070側が備えているので、メインメモリを圧迫することがないところもポイントだ。

GPUはNVIDIA GeForce GTX 1070。Optimusによるスイッチンググラフィックスには対応せずGeForce GTX 1070固定の設定だ

 ディスプレイの駆動方式はIPSで、解像度は1920×1080ピクセルとなる。十分な視野角で、GeForce GTX 1070を念頭に考えた場合、このくらいの解像度であれば高画質設定で十分なフレームレートが得られるところでもある。

 一時4K UHDパネルがゲーミングノートPCでも流行したが、シングルGPUモデルでその解像度、そして高画質設定でゲームを楽しむにはGPUパワーが不足気味なので、現実的な選択肢と言えるだろう。もちろん、ここでコストも抑えられていると思われる。なお、GTシリーズの前モデルでは、15.6型が投入されていなかった。そのため、国内においては新顔と言えるとともに、シリーズ中では比較的小さな画面の本製品は、コストパフォーマンス面で見ても魅力的なラインアップとなるだろう。

1920×1080ピクセル表示の15.6型液晶を搭載。IPSパネルを採用し、視野角が広い

 ストレージは、PCI Express Gen3 x4/NVMe対応のM.2 SSDと、Serial ATA 3.0/AHCI対応の2.5インチHDDというハイブリッド構成となる。容量はM.2 SSDが256GB、HDDが1TBで、空き容量はM.2 SSDが206GB、HDDが917GBだった。

 システム側となるM.2 SSDは、現在の国内におけるトレンドからすると若干容量不足の印象もあるが、コスト的に優れた容量帯でもある。一方、データ側のHDDは十分な容量があるので、ゲームタイトル側のインストール時に指定が必要だが、SteamやOriginなどの場合、インストール先をHDD側に指定すれば、システム側SSDの容量を圧迫することも抑えられる。なお、HDDは7200rpmモデルが採用されているので、2.5インチHDDとしては比較的高速なレスポンスが得られる。

CrystalDiskInfo 7.0.4から見たC、Dドライブの情報。M.2 SSD側ではPCI Express Gen3 x4接続で、NVMeインタフェースであることが分かる

そのほかのハードウェア情報

ネットワークやキーボード、ゲーマーの注目ポイントとなる部分は徹底したチョイス

 それでは、本製品が独自に搭載している機能に迫っていこう。

 ネットワーク機能は、実はここも新世代モデルでアップグレードされているところだ。同社のマザーボードのGAMINGモデル同様、有線/無線ともRivet Networksの「Killer」が採用されているが、有線側は最新の「Killer E2500」にアップグレードされている。旧チップであるKiller E2400との違いは、ゲームプレイ時のレイテンシ削減を推し進めたほか、合わせてソフトウェアも改良が加えられ、設定できるオプションが増えている。

 また、無線側のKiller Wireless-AC 1535と有線側E2500を合わせて、2つのルートでネットワークを高速化する「Killer DoubleShot」にも対応している。この際、アプリケーションを自動で判別し、ゲーム処理に関するものをより高速な有線側に、チャットやゲーム配信などの付随するネットワークアプリケーションを無線側へと割り振り、ゲーム側のパフォーマンスを落とすことのないよう制御される。

Killer Control Center。画面はKiller DoubleShot有効時のもので、緑のプロセスが有線側に、青のプロセスが無線側に自動で割り振られている。ゲーム中ではゲーム本体のプロセスが有線側に割り振られる

 入力デバイスについては、ゲーマー個々人で思い入れのある製品があるだろうが、本製品標準のキーボードもなかなか気合が入っている。キーボードはゲーミングデバイスで知られるSteelSeriesが手がけており、マルチカラーLEDバックライトを備えているほか、その配列にもゲーミング向けの思想がみられる。

 例えば、通常、キーボード左側のCtrl/Altキーに挟まれたところにあるWindowsキーは、本製品ではスペースキーの右に配置されており、初めて触れる際には多少迷うところがあるものの、ゲーム中の不注意で触れてしまいゲーム画面からデスクトップ画面へとフォーカスが移ってしまうようなことを防げる。キーストロークはノートPCとして考えれば十分だ。ピッチについても、もともと15.6型のゆとりあるスペースに配置されていることもあり不満は少ない。10キーも搭載している。

ゲーミング向けという点で、配列はやや特殊だが、そのぶんゲーム中の致命的な入力ミスを防ぐことができる

 キーボードバックライトの制御は、MSIのユーティリティである「Dragon Center」に統合されている。多くのLEDバックライト対応キーボードと同様、キーボード面を3分割して個別に発色の制御が可能だ。また、キーボードマクロなどの機能についてはSteelSeries側のユーティリティから設定する。

MSIのDragon Centerと、StealSeries Engineのキーボード設定画面。大まかな設定はDragon Center側から、より細かな設定はStealSeries Engineと、使い分けることができる

 ディスプレイ端子は、先述のHDMIに加え、mini DisplayPort×1も備えている。ほか、ディスプレイ関連では、True Color Technologyが採用されており、ソフトウェアから画質の調節が可能だ。ちょっと面白いのがこの設定ユーティリティ。画質の設定は、ユーザーにとっては多少面倒くさいこともあるが、このユーティリティは、おおまかに「ゲーマー」、「ブルー軽減」、「sRGB」、「デザイナー」、「オフィス」、「動画」といった具合でタブに分けられており、それぞれその用途で求める調節項目に絞り込んで表示される。この点で、スライダーなどの項目の意味や効果が分かりやすい。これならあまり詳しくない方でも理想の画質が得られるだろう。

表示モードごとに画質を設定できる

 バッテリーはゲーミングノートPCではあまり考慮されないところではあるが、8セルで容量が7524mAhあり、JEITAの測定法で4時間ほど駆動できる。NVIDIAのバッテリーセーブ技術なども利用できるものの、ゲームプレイでのバッテリー駆動時間はこれより短いので、非常用として考えればよい。

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