さて、もう1つの方法である、クラウドストレージへのバックアップ方法について紹介しよう。ローカルのUSB HDDやNASにバックアップする場合は前述のように「Hyper Backup」というNASアプリを使用するが、NAS内のデータをDropboxやOneDrive、Googleドライブといったクラウドストレージにバックアップする場合には「Cloud Sync」というNASアプリを使用する。
バックアップはフォルダ単位で指定するが、バックアップするファイルの種類および拡張子を指定したり、また逆に特定の拡張子を指定してバックアップの対象から外すこともできる。さらにファイルサイズで条件設定をすることも可能なので、大きすぎるファイルをバックアップの対象から外すといったこともできる。
他社のNASに比べてSynologyが有利なのは、このクラウドバックアップにおいて、選択できるクラウドストレージの種類が豊富なことだ。例えば、Amazonプライム会員であれば容量無制限で写真データを保存できるクラウドストレージ「Amazonプライムフォト」が利用できるのは、現時点でSynologyのNASだけだ。またDropbox for BusinessやOneDrive for Businessなどビジネス向けのサービスにも対応するのも特徴と言える。詳細は、公式サイトの「Cloud Sync」を参照してほしい。
サインインしたら次にバックアップのタスクを設定する。ローカルパス(バックアップ元となるNAS上のフォルダ)、リモートパス(バックアップデータを保存するクラウドストレージ上のフォルダ)、同期方向を設定する前述の「Hyper Backup」では、バックアップのスケジュールは最短でも1時間に1回だったが、この「Cloud Sync」によるクラウドへのバックアップはリアルタイムに行われる。つまり実質的にはバックアップというよりも同期であり、NAS上の対象フォルダにデータを保存すれば、直後にもうクラウドにデータがコピーされ、スマホなどからも参照できるようになる。
注意したいのは、同期方向の設定だ。例えば同期を「双方向」にしていると、両者が常に同じ内容に保たれるため、クラウドストレージ上でファイルを誤って削除すると、NAS上の同じファイルまで削除されてしまう。クラウドストレージをあくまでバックアップ先として使うのであれば、データの同期方向を「ローカルでの変更のみアップロードします」に設定しておいたほうがよいだろう。
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