初心者にもできる! SynologyのNASキットで作る、快適データ保存環境(1/4 ページ)

» 2016年12月20日 16時00分 公開
[山口真弘,ITmedia]

 スマホやタブレット全盛のこの時代、家庭やオフィス内のデータをまとめて保存しておくのにぴったりのストレージが、NAS(Network Attached Storage)だ。NASとは要するに、LANケーブルを使ってルータに接続して使うHDDの一種。PCと1対1で接続するUSB HDDと異なり、ネットワークを通じてPCはもちろん、スマホやタブレットから同時にアクセスできるなど、複数のデバイスのある環境に向いた存在だ。

Synology(シノロジー)の「DS216+II」。2台のHDDを内蔵できる、2ベイのNASキットだ

 NASは複数台のドライブをまとめて1つの記憶領域として扱えるため、動画などをサイズの大きいデータであっても大量に保存できるほか、2ベイ以上のNASであれば「RAID」と呼ばれるデータ保護機能が使えるので、1台のドライブが破損しても他のドライブからの復旧が行えるのも利点だ。

 さて、NASの中で近年その存在感を増しつつあるのが、俗に「NASキット」と呼ばれる、ドライブを自分で組み込むタイプの製品だ。ドライブが別売であるため、購入時点でお買い得なHDDを予算に合わせて調達でき、かつあとからの交換も自由に行える。組み立て式といってもケースを開けてドライブを固定するか、もしくはカートリッジに固定して差し込むだけの簡単さなので、初心者でも安心だ。

 そして、これらNASキットの中でも、丁寧で分かりやすいセットアップ方法と、安定した動作、および豊富な機能でユーザーから高い支持を集めているのが、Synology(シノロジー)のNASキットだ。同社のNASキットは、国産の数あるNASを差し置き、有名通販サイトの年間のNAS売り上げランキングのトップに輝くほど。今回はこのSynologyのNASキットの組み立てから、実際に使えるようになるまでの流れを、写真とスクリーンショットを中心にわかりやすく紹介しよう。

化粧箱は英語表記だが、ソフトウェア周りはすべて日本語化されているので安心して利用できる

同梱品一覧。本体のほか、ACアダプタと電源ケーブル、LANケーブル、ドライブ固定用のネジ、クイックインストレーションガイドが付属する。HDD×2台については自前で調達する必要がある

NASキットはどんなところに注意して選ぶべき?

 NASキットの種類はさまざまだ。分かりやすい違いとしては、ベイの数=搭載できるドライブ数が挙げられるが、同じベイ数でも2倍以上の価格差があることも多く、初心者にとってはいったい何が違うのか、また購入にあたってどこをチェックすべきか迷いがちだ。ここではSynologyの2ベイNAS「DS216j」と「DS216+II」を比較してみよう。

製品名 DS216+II DS216j
CPU Intel Celeron N3060(64ビット)/デュアルコア 1.6 burst up to 2.48 GHz Marvell Armada 385 88F6820(32ビット)/デュアルコア 1.0 GHz
メモリ 1GB 512MB
外部ポート USB 2.0×2、USB 3.0×1、eSATA×1、USBコピー対応 USB 3.0×2

 まずはCPUとメモリ。この両者はPCと同様、処理性能を大きく左右する。DS216+IIに搭載されるIntel Celeron N3060は複数人からの同時アクセスや動画エンコードにも耐えうるクラスのCPUで、DS216jに搭載されるMarvell Armada 385 88F6820はエントリークラスのCPUだ。1人で使用するならDS216jで充分だが、家族や企業で複数人で使うのであれば、処理性能に余裕があるDS216+IIのほうがよいだろう。メモリの容量もDS216+IIが1GB、DS216jが512MBと2倍の差があり、快適さではDS216+IIのほうが上だ。

 どちらも2ベイのモデルであるため容量に違いはないが、ドライブを取り付ける際、DS216jは本体を開けてネジ止めしなくてはいけないのに対して、DS216+IIはカートリッジに取り付けて挿入するだけで済み、ドライバーなどの工具も必要としない。将来的にドライブを大容量のものに交換しようとした場合や、故障によってドライブを取り替える際も、DS216+IIのほうが圧倒的に簡単だ。さらに外部ポート数もDS216+IIのほうが多く、拡張性は高い。

Synologyの2ベイNAS「DS216j」(右)はホワイトのボディが特徴。左は「DS216+II」

「DS216j」はドライブの取り付けにあたり、本体を開封してネジ止めする必要がある

「DS216+II」はカートリッジ式なので本体を開封する必要がない。交換も簡単だ

 あくまで代表的な項目を抜き出しただけで、DS216+IIにはほかにもAES-NI ハードウェア暗号化やファイルシステムBtrfsのサポートといった特徴もあるが、同じ2ベイNASでもかなりの違いがあることはお分かりいただけただろう。あとは予算も考慮しながら、自分に合った製品を選ぶとよい。

なおNASのさまざまな設定を行うためのOSには、どちらも同じ「DSM(DiskStation Manager )」というシステムソフトウェアが使われており、操作性は変わらない。以下の導入手順はDS216+IIをもとに説明するが、DS216jも画面は同一なので、そこは安心してもらってよい。

ブラウザからNASにアクセスすると、NASのさまざまな設定を行うための画面「DSM(DiskStation Manager)」が表示される。NASにアクセスするための専用ソフトウェアをPCにインストールする必要はない

コラム:ドライブ搭載済モデルとなしモデル(NASキット)はどちらがいいの?

 NASと呼ばれる製品には、国内メーカーが手掛ける、あらかじめドライブを搭載したモデルも存在している。こちらは組立作業が不要というメリットはあるものの、HDDが自分で選べる海外NASのように、あとからドライブを大容量のものに交換したり、ドライブを抜き取って本体を上位のモデルに載せ替えたりといったことができない。これは長くNASを使う上では大きなハンデだ。

 またドライブ搭載済NASは、HDDの価格相場が下落しても、あまりその恩恵を受けることがない。必ず割高になるというわけではないが、NASキットのように、その時点で特価になっているHDDと組み合わせて格安で組み上げることが難しい。こうした事情もあってか、すでに一部の国内NASメーカーは、HDDの価格相場の影響を受けにくい、HDDなしモデルへの切り替えを開始しつつあるのが現状だ。

 また海外メーカーでは主流の、アプリを組み込んで機能を拡張できる仕組みは、国内メーカーはようやく着手し始めたところで、アプリの質量ともに圧倒的に不足している。例えばクラウドへのバックアップにおいて、多種多様なクラウドストレージをサポートする海外メーカーに対して、国内メーカーはDropboxやGoogleドライブだけといった具合で、現状では海外メーカーの後追いとなっている部分も多いのが実情だ。


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