月額課金型のコンテンツ提供サービスが増えている。月額500円〜1000円程度の利用料を支払うことで、インターネット経由で映像コンテンツを見放題、書籍やマンガなら読み放題、音楽なら聴き放題、というものだ。
代表的なものとしては、映像ならHuluやNetflix、dTV、Amazonプライムビデオなど。書籍はKindle Unlimitedや楽天マガジン、dマガジン、各種の電子書籍マンガ専門サービス。音楽ならApple MusicやSpotify、AWA、LINEミュージックなどだ。
これらのサービスは、「○○し放題」という自由度の高さがウリだが、逆にそこに不自由さや窮屈さを感じてしまい、解約に至る人も少なくないようだ。
「最初は純粋に楽しみのために契約したんですが、だんだんと義務感のようなものに駆られるようになってきたんですよね」(20代男性)。映像なら何万タイトル、音楽なら何千万曲。コンテンツの数は限りなくある一方で、自分が自由に使える時間は限られている。
さらに、そうしたコンテンツの中でも自分が「本当に見たい」と思うものは一握りだ。最初にそれらを消化してしまった後は、あまり利用しなくなった。もちろん、他にも気になる番組や音楽はあるが、「いつでも見られると思うと、逆に今見なくてもいいか、と思ってしまう」。
別の40代男性は、電子書籍の読み放題サービスについて「積ん読(つんどく)のようだ」と言う。積ん読とは、書籍を買っただけで満足してしまい、読み始めることすらないまま、机や床に積み重ねてそのままにしてしまうこと。
「本を買っただけで満足してしまうように、『読み放題のものがたくさんある』という状況そのものだけで満足してしまうようなところがある。コンテンツがひんぱんに入れ替わるので、本当に読みたいものだけは先に読まなきゃと思うけど、そういうものはほんの一部です」
見放題、読み放題、聴き放題など各種サービスに一通り登録してみたという20代女性は、「無料のお試し期間が終了したと同時に、全部やめた。食べ放題と同じで、元を取ろうとすると逆にしんどくなる」。
実際には、この20代女性のように、「無料なら」と登録し、そのまま有料期間に移行してからも、ほとんど使わずに放置してしまっているというユーザーも多いのではないだろうか。
「○○し放題」は実は窮屈、実は不自由――今回取材に答えてくれた人たちからは、そんな本音が聞こえてきた。もちろん多くのコンテンツが見放題、読み放題になることで、大いに有効利用しているユーザーも多いはず。しかし、そうでないなら一度自分の「利用サービスリスト」を見直してみても良いだろう。
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