仮想通貨のマイニング(採掘)のためにグラフィックスカードを買い求める動きが急に激しくなったのは、5月下旬に1ビットコインが30万円を突破したのがきっかけといわれている。まずは消費電力が抑えめでビットコインのマイニングに強いといわれるRadeon RX 580/570カードに人気が集中し、枯渇した後は代替として一世代前のRX 480/470カードに注目が集まったが、それもまもなく払底。
6月中旬にビットコインの価値が2割近く急落した後も熱は引いていない。某ショップは「急落した後のほうがむしろ需要が増している感もあります。度重なるニュースでウワサがウワサを呼んで、参加者が増えているということかもしれません」と話していた。
そうして目をつけられたのが3GBメモリ版のGeForce GTX 1060カードだ。6GB版よりも割安でマイニング性能に大差がないということで、街全体で複数枚の指名買いが集中しているという。同時購入の枚数制限を設けているショップも多い。
突然の特需にショップの反応は複雑だ。某ショップは「パーツが売れるのはありがたいことです。複数枚挿しに強い電源ユニットもよく売れますしね。ただ、ゲーム目的でグラフィックスカードを探している人が目当てのモデルを買いにくくなっているのは申し訳ないです。特にGTX 1060は元から売れ筋ですから、マイナスの影響も大きい」と心配する。
先週末時点では、3GB版GTX 1060カードにRadeon RX上位ほど極端な品薄傾向はみられず、モデル指定でなければ何かしら調達できる状況ではあったが、今後の動き次第でどうなるかは不透明だ。
別のショップからは「バブルみたいなものですからいつ急ブレーキがかかるかも分からない。世界中で枯渇しているので在庫をたんまりとることはないですけど、読みを誤るといろんなひずみが出てきそうだと思います。楽観なんてできませんよ」との声も届く。今後の動向にも注視していきたい。
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