「魔法のよう」――pixivがお絵描きサービスにAI自動着色を取り入れた理由(3/3 ページ)

» 2017年06月30日 12時00分 公開
[井上輝一ITmedia]
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 取材を終えてから、記者も実際にpixiv SketchのAI自動着色を試してみた。描いた絵をお見せするのは大変お恥ずかしいが、確かに髪色に少しヒントを与えるだけで線画に良い感じに色を乗せることができた。瞳や口は色を指定していないのに、きちんとそれらしい色が入っている。この塗りを下地として絵を仕上げるのもありだろう。線画から塗りまでのハードルは、間違いなく下がっていることを実感した。

スマホで描いた絵に、PCのWebブラウザ上で自動着色を試した

AIは創作に関わる人を増やす

 米Google傘下のDeepMindが開発する囲碁AI「AlphaGo」が、世界レーティング1位のプロ棋士に完全勝利したように、AIにとって従来難しいとされてきたタスクで目覚ましい成果を挙げるケースが生まれている。

 こうしたAIの発達で危惧されているのが、「AIが人の仕事を奪うのではないか」ということだ。実際、pixiv Sketchの自動着色機能も、人間にしかできなかった「色塗り」という仕事をAIが代替している。

 だが、川田さんはAIをサービスに取り入れた側としてこう話す。

 「私たちは逆だと思っている。AIは、人間の仕事をむしろ増やすのではないか」

 清水さんも続ける。

 「AIが現れる前、例えば50年前と比べても、今の私たちの生活環境は格段に便利になっているはず。しかし、みんな今も仕事をしているし、仕事も楽になっていない。つまりそういうことで、AIがいろいろなことをやってくれるようになる分、人は別の仕事に携わるようになると思う」

 「われわれが導入したAI自動着色も、投稿までのハードルを下げて、創作に関わる人を増やすのが目的。さらに創作活動に関して言えば、どんなにAIが発達しても人の『創りたい』という気持ちと『創作物を見たい』という気持ちはなくならない。創作分野では今後も人が関わり続けるのでは」(清水さん)

 AIは人に取って代わるものではなく、人がある目的を達するまでにいくつもある困難を越えていくアシストをしてくれるものになるだろう――というのが川田さんと清水さんの共通意見だ。

 「AIによって、ある分野に関わる人が増えれば、そこにそれだけ仕事が生まれるはず。だから『AIが仕事を奪う』というよりも、『AIが仕事を増やす』と言ったほうが、少なくとも創作分野では適していると思う」(川田さん)

 「自動着色は魔法みたいという声もあるが、プログラミングってもともと魔法に近いんじゃないかなと。それにしても、やっぱりAIで得られる結果は本当に魔法のような結果が得られるので、もっといろんな魔法を錬成……もとい、実装していきたい」(清水さん)

ピクシブのカラフルな社内。オフィスの机がぐねぐねと曲がっているのは、全ての机をつなげて一周させることで不規則な配置にし、社員の偶発的なコミュニケーションが起きるのを狙っているという
ピクシブの入り口に飾られたイラスト絵馬。同社を訪れたイラストレーターたちに描いてもらったもの
ピクシブ主催のお絵描き会でイラストレーターたちが寄せた巨大絵馬
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