米Adobe Systemsが2020年末に「Flash Player」のアップデートと提供を終了すると発表した。既に各方面で話題になっているこのニュースだが、今回はWindowsプラットフォームにおけるFlash技術とそのコンテンツ、対応サービスについて、今後の動向と対策をまとめていく。
Flash終了と聞いて「時代の節目か……」と感慨を抱いた方は多いかもしれないが、一方で「なくなると困る」と考えた方はそこまでいないかもしれない。
実際、筆者の周辺環境を見てもWindowsマシンではFlashが有効化されてはいるものの、YouTubeをはじめ多くのサイトではHTML5のコンテンツを優先表示しているため、Flash Playerが実行される機会はほとんどない。
MacはデフォルトではFlash Playerがインストールされておらず、そもそもSafariブラウザを利用する限りはプラグインが起動することがない。たまにFlashコンテンツ実行用に起動しているFirefoxブラウザでFlash広告の表示がブロックされて、そのサイトでFlashを利用しているのに気付くくらいだ。
Android、iOS、Windows 10 Mobileといったスマートフォン向けのモバイルOSに至っては、そもそもFlashコンテンツ自体が実行されない。
本連載では、2016年4月に当時のWindows 10大型アップデート「Anniversary Update(1607)」におけるEdgeブラウザでのFlashコンテンツ実行ポリシーの変更について紹介し、Webの世界から緩やかにFlashコンテンツが消えつつある状況を報告した。今まさに、それが現実になろうとしている。
Adobeは7月25日(米国時間)に公式ブログで、現在はHTML5、WebGL、WebAssemblyといったFlashの代替となる技術が登場し、かつてプラグインによって提供されてきた機能がWebブラウザに包含されつつあることを報告した。
また同社は、プラグインの排除が進むWeb業界のトレンドにおいて、最後のWebブラウザ向けプラグインとも呼べるFlash Playerの2020年での終了宣言(End Of Life:EOL)を出すにあたり、Apple、Facebook、Google、Microsoft、Mozillaといった業界のキープレイヤーとの協力を進めていると表明した。
これを受け、米Microsoftは公式ブログでFlash終了に向けたWindowsプラットフォームにおけるロードマップを次のように示している。
MicrosoftではFlashと並行して「VBScript」の利用も制限する方策を進めている。
セキュリティ対応やレガシーサポートでは度々問題となるVBScriptだが、Windows 10次期大型アップデート「Fall Creators Update(1709)」の提供のタイミングで、IE11におけるVBScriptの実行が「インターネット」と「制限付きサイト」の2つのセキュリティゾーンで禁止される。「イントラネット」と「信頼済みサイト」のみの利用に制限ということで、企業ユーザーに配慮した形だ。
Fall Creators Updateを適用したWindows 10以外のバージョンを利用する全てのWindowsユーザーに対しても、後のIE11へのセキュリティアップデートで同様の対応をしていくという。
これらは、2020年に控えるWindows 7の延長サポート終了に向けた地ならしの一環となる。
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