一旦落ち着いたマイニング人気は、8月21日に発売されたAMDのハイエンドGPU「RADEON RX VEGA 64」搭載カードの登場で再び盛り上がると一部で思われていた。初回のリファレンスモデルは空冷通常版と空冷メタルボディー版、水冷タイプの3種類があり、税込み価格は8万円弱、8万円弱、9万円強となる。
実際、発売時は「ゲーム目的が4割、マイニング目的が6割といった感触」(TSUKUMO eX.、当時)と期待通りの動きがあったが、後が続かず。8月末に登場した下位の「RADEON RX VEGA 56」搭載カード(税込み6万6000円前後)もしばらくは埋もれた状況が続いた。
その背景には、マイナーの中心層となっていた中国での規制強化がある言われている。10月末には中国内の仮想通貨取引所はすべて閉鎖され、かつての隆盛は望むべくもない状態になっていた。
それでも中国メーカーのColorfulからPCIe x16スロットを8基並べた規格外マザー「C.B250A-BTC PLUS V20」(税込み2万5000円前後)が10月中旬に登場するなど、くすぶりながらも動きは止まらなかった。
そして、11月末に1ビットコインが100万円の大台を突破したころ、再びマイニング需要が再燃。「日本人とベトナム人が多いみたいです」(パソコン工房 秋葉原BUYMORE店)とのことで、夏場ほどの勢いや参加人口はないにせよ、新たな担い手によって確実に活性化した。
このとき品薄が心配されるようになったGPUは、GeForce GTX 1070とRADEON RX VEGA 56/64カードだ。特にRADEON RX VEGA 56は、12月下旬に登場したMSIの独自クーラーモデル「Radeon RX Vega 56 Air Boost 8G OC」(税込み8万円前後)が店頭に並べる間もなく売り切れるなど、反響が大きかった。
と、マイニングの動きを振り返ってみると、この1年で自作パソコンとの距離が急激に縮まったように思える。実際、6月からビットコインとモナコインでの決済に対応したパソコンSHOPアークのように、店頭で仮想通貨が使える店舗も出てきている。10月末、同店は「特にモナコインはシールを無料配布して以来、店頭での利用者が増えています。街でイベントも行われるなど、愛されている感じがありますね」と話していた。自作パソコンの一ジャンルとして、来年も新たな展開を見せるかもしれない。
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