マイニング以外で2017年に目立っていたのはMOD PC(改造PC)の進化だ。自作マシンの光モノブームは2015年秋からじわじわと浸透し、2016年にはRGB LEDライト内蔵した冷却パーツやイルミネーション機能を備えたマザーボードなどが充実し、透過度が透明アクリルより高い強化ガラスパネルを採用したPCケースがラインアップを増やしていった。
その傾向は2017年も続き、年初旬のころから可動タイプのオープンケース「X-Frame 2.0」(税込み17万円弱、2月初旬発売)やミラーコーティングした強化ガラスで覆ったフルタワー「Tou 2.0」(税込み32万円強、3月中旬発売)といった超高級ケースが個人に売れる土壌が出来上がっている。
そして、象徴的だったのは7月から8月にかけて複数店舗で展示された、有志によるMOD PCだ。透過液晶パネルを左側面にはめ込み、その画面上で初音ミクを踊らせるというもの。「そのデモを見るためだけに足を運んだという人はかなりいました」(オリオスペック、7月)というように、アキバへ来る動機になるほどの存在となっていた。
こうした高度なMOD PCへの関心は高まっているようで、秀逸なデモ機が客足を変えるという話は複数のショップで一年を通して聞いている。TSUKUMO eX.は「ケースから自作するというアプローチも、かなり高度にやれるようになっていて、プロじゃない有志が全国で取り組んでいるというのが良いですよね。いい感じで解釈が広がっていると思います」と話していた。
ゲーミングも順調に伸びた一年だったといえる。年末、パソコンSHOPアークは「eスポーツの認知度が上がってきたことや、『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)』が大ヒットしたことで、PCゲーム人口が確実に増えているのが実感できた年でした」と振り返る。
PUBGは島内での生き残りを目指すオンラインゲームで、日本語版の勝利画面の文言から“ドン勝”と呼ばれることが多い。正式リリースは12月だが、PC用の早期アクセス版が3月から公開されており、じわじわと人気が拡大。秋には複数のパーツショップで「ドン勝しよう」の文言とともに推奨BTOマシンや推奨構成がプッシュされるなどした。あるショップは「売れ方はマイニングがすごかったけど、プレイヤーの広がりでいえばPUBGが勝っていたかも」と話す。
そのほか、VRも2016年から続いて安定した人気があり2018年以降の広がりも期待できそうだ。ただ、そうした新たなムーブメントは、根底に優れたプラットホームがあってこそ。後編ではCPUやマザーボードにスポットを当てて自作街を振り返りたい。
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