今回は、Ryzen 7 2700XとRyzen 5 2600X、比較対象として第1世代のRyzen 7 1800X、Intel Core i7-8700Kを用意した。この4製品での比較を行なってみよう。その他の機材は以下にまとめた。
CPU | Ryzen 7 2700X | Ryzen 5 2600X | Ryzen 7 1800X | Core i7-8700K |
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マザーボード | ASRock X470 Taichi | GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI | ASRock X470 Taichi | MSI Z370 GODLIKE GAMING |
メモリ | G.Skill SNIPER X F4-3400C16D-16GSXW(DDR4-3400[DDR4-2933動作]、8GB×2) | G.Skill SNIPER X F4-3400C16D-16GSXW(DDR4-3400[DDR4-2933動作]、8GB×2) | G.Skill SNIPER X F4-3400C16D-16GSXW(DDR4-3400[DDR4-2666動作]、8GB×2) | G.Skill RIPJAWS 4 F4-2666C16Q-16GRB(DDR4-2666、4GB×4) |
グラフィックスカード | MSI GEFORCE GTX 1080 TI LIGHTNING | |||
システムSSD | Intel Optane 800P SSDPEK1W120GA01(M.2 NVMe PCIe 3.0 x2、3D XPoint、118GB) | |||
データSSD | Crucial MX500 CT1000MX500SSD1(Serial ATA 3.0、3D TLC、1TB) | |||
電源 | Seasonic Xseries XP SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W) | |||
まずはCPU性能をCINEBENCH R15で比較する。マルチスレッドのCPUスコアは、Ryzen 7 2700Xが1779cbを記録し、ほかを大きく引き離した。2番手はRyzen 7 1800Xだが、Ryzen 7 2700Xとの間には144ポイントの差があり、決して小さくない。
Ryzen 5 2600Xは1356cbで、これはCore i7-8700Kよりわずか57ポイント低いだけだった。CPUのマルチスレッド性能については8コア・16スレッドのRyzen 7が相変わらず圧倒的なことに加え、新旧Ryzen 7が想像以上に大きかった。Ryzen 7 2700Xが1800Xに対してクロックを引き上げたが、それに加えPrecision Boost 2によって全スレッド使用時のクロックを250MHz程度引き上げていることがここに現れたのかもしれない。また、Ryzen 5 2600Xもかなりがんばっている印象だ。
CPU(Single CPU)については、トップがCore i7-8700Kであるのは変わらず。Ryzen 7 2700Xは175cbで、1800Xよりも12cbほど高くなった。メインはクロックの引き上げにあるだろう。IPCの向上も寄与していると思われる。また、より高クロックで動作するRyzen 5 2600Xが172cbで、Ryzen 7 1800Xよりも高いスコアとなった。
CPU性能検証でもう1つ、TMPGEnc Video Mastering Works 6によるトランスコードを行なった。今回は4K/60pで10分34秒の映像をYoutube用に4K出力した際の所要時間を計測した。
結果はRyzen 7 2700Xが最も速く34分39秒で、これに続くのがCore i7-8700Kで37分、3番手がRyzen 7 1800Xで37分56秒、最後がRyzen 5 2600Xで43分51秒だった。やはりRyzen 7 2700Xが速い。
ただし、6コア・12スレッドのCore i7-8700Kが2番手なのはIPCとクロックだろうか。僅差だがCINEBENCH R15でより高いスコアだったRyzen 7 1800Xを逆転している。負荷が高い処理であれば分単位で時間短縮となる結果で、ソフトウェアトランスコードが必要な用途、あるいは先のCINEBENCH R15のように3Dレンダリング用途では、Ryzen 7 2700Xのパフォーマンスが生きてくるだろう。
Sandra 2017 SP4(build 24.61)では、メモリレイテンシテストを実行してみた。グラフはそのなかのグローバルデータメモリ:ページランダムアクセスパターンの結果を抽出している。結果を見ると、確かにRyzen 7 2700XおよびRyzen 5 2600Xは、Ryzen 7 1800Xとは少し異なる結果だった。
少し分かりづらいので、Ryzen 7 2700Xと同1800Xのみ抽出してその差をパーセンテージでグラフ化してみた。データラベルは実際の結果のナノ秒表記としている。AMDのスライドによれば、L1で13%、L2で34%、L3で16%レイテンシが削減できたというが、L1は差がない結果(ただし、2kb時は0.9ns対1nsなので10%程度の差がついている)で、L2は確かに34%、L3は10%程度の削減という結果だった。メモリレイテンシテストにはいくつかパターンがあるので、1つの結果だけでは断定はできないが、AMDの主張は正しそうだ。
PCMark 10はまず総合結果のExtended Scoreを確認しよう。Ryzen 7 2700Xは7978ポイントで、これはRyzen 7 1800Xを大きく上回っている。ただしトップはCore i7-8700Kで、その間にはかなり大きな差がついている。
なお、意外に健闘しているのがRyzen 5 2600Xだ。PCMark 10ではそこまでマルチスレッドの比率が高いわけではないし、かといってシングルスレッドばかりでもない。結果、Ryzen 5 2600XがRyzen 7 1800Xを逆転したと考えられる。Precision Boost 2が効いているのだろう。
PCMark 10の個別のシナリオの結果を見ていこう。まず、基本的には個別の結果もExtended Scoreの傾向に沿った内容だ。その中で特徴的なのがProductivityだろう。Spreadsheetsでは第2世代Ryzenの2製品が高いスコアを見せている。Productivityほどではないが、Digital Content CreationのPhoto EditingもRyzen 7 2700Xがトップであり、アプリケーションによってはメインストリームCPUの中でトップを張れるだけのポテンシャルがあるようだ。
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