refeia先生が「Wacom Intuos」をねっとりとレビューするよ(3/3 ページ)

» 2018年05月18日 09時00分 公開
[refeiaITmedia]
前のページへ 1|2|3       

お絵かきします!

 さて、恒例のお絵かきをしていきましょう。今回は別の制作業務に使うのは微妙に怖かったので、先に載せた古いノートPCのまま、付属ソフトにも含まれている「CLIP STUDIO PAINT」でお絵かきをしていきます。

 まずはラフから。ペンタブレットは授業でたまに使うぐらいで、イラスト製作には10年近く使っていないですが、意外とサクサク描けます。

ブランクあるから感覚が切れていて気が重くなったら嫌だな、と思っていたのが杞憂(きゆう)でうれしくなっている様子

 筆圧は先に書いたように調節済み、ただし、Cintiq Proよりもペン先の摩擦がずっと強いので、同じ感覚では描けません。硬めの鉛筆で筆圧をかけながら線を引いているような、シッカリした感じで、こっちのほうが好みという人も多いと思います。

 Mediumサイズの検知範囲は自分にとってもちょうど良くて、腕を振り回さなくてもいいので楽に感じます。

 次に線画。ここはさすがに、慣れに慣れているCintiq Proを使うよりは失敗ストロークが増えてきます。とはいえ、線が決まらなくて苦痛という感じでもないし、品質面でも液晶ペンタブレットを使ったのと大差ないよな、という感じで線が出てきます。

「意外と普通にできるぞ……というかお値段10倍でどっちも普通とかではちょっと……」みたいなモヤモヤが頭をよぎります

 良いです。何かちょっと感覚があわないとすぐ手が止まる癖があるのですが、今回は止まらないです。

 塗り行きましょう塗り。筆圧を軽くして滑らかなグラデーションを作るようなストロークも、普通です。普通に進んでいくってすばらしい……

肌のグラデは1ストロークで広い範囲を決められると気持ち良いです

 バッテリーは10%減るのに約1時間20分かかりました。人間より先にタブレットがスタミナ切れになることはほぼなさそうです。

 その他、液晶ペンタブレットと比べてペンを動かす範囲が小さくてすむメリットとして、どんどんとストロークを重ねていってもあまり疲れないというのがあります。おなかは気の向くままナデナデしつつ、髪の毛はシンプルめにして完成です。

ピスタチオグリーンちゃん

 繰り返しになりますが、不慣れなペンタブレットで1枚描くのは大変かな、と思っていたんですが、全然大変じゃなかったです……。よかったね!

 少し気になったのがペン先の摩耗。数時間の作業でも目に見えて先が削れています。摩擦が強いので仕方がないとも思えますが、普段使っているCintiq Proとハードフェルト芯だと、ずいぶん使い込んでもペン先は「べつに?」みたいな顔をしているので、それに慣れていると驚きます。

まとめ

 というわけで、外観と設置を見て、液晶ペンタブレットユーザーとしてペンタブレットのうれしさを再発見することができて、製作しながらのインプレッションもできました。いつものように良かった点と気になる点をまとめていこうと思います。

気に入った点

  • かわいらしいピスタチオグリーンとベリーピンクの2色、またはシックなブラックが選べる
  • 非常にコンパクトなボディー
  • 4096段階のペンや無線接続など、過去の上位機を食うようなスペックながら非常に買いやすい価格
  • 誤爆しにくさを極めたボタン位置と形状
  • 細身で持ちやすく、動かしやすいペン
  • ペン置きになるボタンや、ペンが収納できるタブ、替え芯が内蔵されているペンなどの親切仕様
  • ダウンロード可能なソフトに「CLIP STUDIO PAINT」が含まれている
  • 「CLIP STUDIO PAINT」以外にもフォトレタッチソフトやリアルブラシ系のペイントソフトが含まれていて、モデルによってその中から1本〜3本を選んですぐに製作を始められる
  • バッテリー稼働時間が長い
  • 引っぱる力で線をコントロールしやすい、強い摩擦

人によっては難点になるかもしれない点

  • デフォルトの筆圧設定が濃すぎる
  • デフォルトの設定では縦横比を維持してくれない
  • Largeサイズ、タッチ機能、傾き検知がない
  • 筆圧が強い人は持ち疲れしやすい、細身のペン
  • 常に摩擦が強く、芯の摩耗も早い
  • 汎用のUSBケーブルを接続すると上側にケーブルが飛び出るため、設置しづらくなる

といったところでしょうか。

 最初は「積極的に欲しいもんでもないな」などと思っていましたが、短い間とはいえ学校に連れ出したり実用したりしているうちにちょっと愛着がわいてしまいまして……あーこういう気軽なのっていいな……という気持ちです。

 自分の癖という面もありますが、デジタル一眼を使っているときも、安いカメラのほうが気持ちが楽で楽しくなってくる場合が多いです。自分は普段はCintiq Proを使用していて、性能面とそれで得られるアウトプットや、製作の楽しさには満足しています。

 ですが、Intuosを使っているときに感じる気楽さと、そこからくるプラスαの楽しさのような不思議な境地は、Cintiq Proではずっと得られないのではという気がしています。

 前々から感じていたペンタブレットの広範な便利さもシェアできましたし、Intuos自体も使って楽しく性能十分で、うっかりしちゃってもお財布ダメージがほとんどない製品でしたし、レビューできてよかったです。

ピスタチオグリーンちゃん&ベリーピンクちゃん

 あとお絵かきも楽しかった。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. わずか237gとスマホ並みに軽いモバイルディスプレイ! ユニークの10.5型「UQ-PM10FHDNT-GL」を試す (2024年04月25日)
  3. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  4. 「Surface Go」が“タフブック”みたいになる耐衝撃ケース サンワサプライから登場 (2024年04月24日)
  5. QualcommがPC向けSoC「Snapdragon X Plus」を発表 CPUコアを削減しつつも圧倒的なAI処理性能は維持 搭載PCは2024年中盤に登場予定 (2024年04月25日)
  6. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  7. アドバンテック、第14世代Coreプロセッサを採用した産業向けシングルボードPC (2024年04月24日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  10. AI PC時代の製品選び 展示会「第33回 Japan IT Week 春」で目にしたもの AI活用やDX化を推進したい企業は要注目! (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー