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» 2018年12月21日 06時00分 公開

ゆくPCくるPC:「VAIOのMac」ありえたかも? ジョブズが憧れたソニー、「バイオノート505」

平成の思い出深いガジェットを振り返る。第1回は、“銀パソ”の流れを作ったソニーの「バイオノート505(PCG-505)」。

[ITmedia]
ソニー「バイオノート505」

そろそろ振り返りませんか

 「そろそろ平成も終わりますし、PC USER的に思い出深かったガジェットとか振り返りませんか?」──定例の編集会議で、若手の編集Kがこんな企画案を思いつきで切り出すと、編集G(現編集長)、編集M(前編集長)、編集T(前々編集長)が頭を抱えてしまいました。

 「紙の時代があるからなあ……」

 そう、PC USERもかつてはPC雑誌「Hello!!PC」として1994年に創刊して以来、99年に「PC USER」と誌名変更、2006年6月にWeb媒体へ完全移行という変遷をたどってきたのでした。

 創刊時期的には平成とともに歩んできたといっても過言ではありませんが、振り返るにしても、紙の時代のデジタルデータなどほとんど残っていません。そもそも写真だってフィルムの中判一眼レフで撮っており、残っているのはデジタルデータではなくポジフィルム。紙のバックナンバーも保存してはいるものの、会社所在地の引っ越しに次ぐ引っ越しもあり、状態が良いとはいえません。

 紙の時代である10年の間にも振り返りたい平成ガジェットが少なからずありますが、こういった制約もあります。そこで、なんとかデジタルに残っている情報や編集部員たちの思い出から、平成のガジェットを振り返っていこうという連載「30年に渡る“平成のツワモノ”に光を当てる」がここに爆誕しました。記念すべき第1回は、“銀パソ”の流れを作ったソニーの「バイオノート505(PCG-505)」を振り返ります。

銀パソ、MacBook Airの源流

PCG-505

 バイオノート505は、ソニーが1997年に発売したVAIOブランドのモバイルノート初代機。薄さ23.9mm、10.4型、重量約1.35kgと、現行機種のモバイルノートと比べても遜色のない筐体に、当時最先端のスペックを詰め込みました。円筒形のヒンジ部を覚えている人もいるのではないでしょうか。

 さらに特徴的だったのが、紫に近いバイオレットカラーを本体色に採用したこと。当時、暗色系の色合いが多かったノートPCの中でバイオノート505は文字通り異彩を放ち、以降の「銀パソ」と呼ばれる銀色系のノートPCカラーの先駆けともなりました。

 バイオノート505はシリーズとして、2004年までに型番にして計88機種、「バイオノート505エクストリーム」も含めれば計90機種をラインアップしました。

 編集M「初代505が発売された1997年秋冬の流行色はパープル。それを狙ったわけでは当然ないのですが、斬新なバイオレットカラーとスリムな金属ボディーの融合が、他のPCにないファッションセンスを醸し出していて、新たなトレンドを予感させる際立った存在でした。前みたいな記念モデルでいいので、最新仕様でよみがえらせた“505”も見てみたいですね」

バイオノート10周年記念として2007年に発売された「VAIO type T バイオノート505 10th Anniversary Limited Edition」

 編集T「いわゆる“銀パソ”ブームのきっかけとなった505ですが、使い勝手や頑丈さ、バッテリーの持ちが気に入らず、また周囲の人が褒めまくっていたこともあって、Let's noteシリーズ(CF-S21やCF-A44など)に走った時期でしたね。でも、VAIOが無事に継続、そして復活して一安心です」

 編集G「505といえば『MacBook Air』の源流。Apple Japanの元代表取締役で米Apple元マーケティング担当VPの前刀禎明氏がApple入社時の最終面接で、故スティーブ・ジョブズ元CEOに505エクストリームを見せてプレゼンしたり、またあるときにはジョブズがMac互換VAIOをソニーの安藤国威元社長に持ちかけたりした逸話もあるくらいで、505がなかったら、もしかすると今のMacBookも生まれていなかったかもしれません」(関連記事

 カメラマンY「これディスプレイの端を持ち上げるとたわむんだよね」

赤字転落、ソニーがVAIO切り離し…… 新VAIOは黒字に転換

 ソニーが「スマートフォンとタブレットに集中する」として、VAIOブランドを含むPC事業を切り離したのが2014年7月のこと。同社の赤字部門に転落したことが原因でしたが、切り離されたPC事業部は現在「VAIO株式会社」としてビジネスを立て直し、経営も黒字に転換しています。

 コンシューマー、ビジネス向けのノートPC事業のみならず、EMS事業(電子機器の受託生産)、VR(仮想現実)などを活用するソリューション事業という“3本の柱”での成長を模索しています。

 最近では、2in1でありながらクラムシェル型ノートPCと同等の使い勝手を実現した「VAIO A12」を発表。クラムシェルの使い心地の要となる、「スタビライザーフラップ」構造という新開発の独自ギミックにこだわりを見せています。

 ジョブズが憧れたVAIOの魂は、平成を越えてどんなPCを見せてくれるのでしょうか。

 

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