レビュー
» 2019年01月25日 06時00分 公開

机の上ではコンパクト、そしてCPU性能はトップクラス――現代のスリムPC「LUV MACHINES Slim」レビュー(3/3 ページ)

[石川ひさよし,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

CPU性能がモノをいう用途なら活躍間違いなし

 それでは、LM-iHS430HDのパフォーマンスを代表的なベンチマークテストで確かめていこう。

 まずはスペックで第一のポイントに挙げたCPU性能をCINEBENCH R15で計測した結果から。スコアは、CPU(Multi CPU)が1426cb。1000cbを軽く超えているのは、4コア・8スレッド時代のCore i7を大きく突き放している。およそ1.5倍近いだろうか。

 CPU(Single CPU)に関しても203cbを記録しており、こちらも高い。Core i7-9700Kは定格3.6GHz、Turbo Boost時4.9GHzと、4GHz台半ばまでだったころと比べるとシングルスレッド性能も大きく向上している。このようにスリムPCでありながらCPU性能はかなり高いので、CPUを主に利用するアプリケーション、例えば映像編集・トランスコーディングなどの用途にはぴったりだ。

CINEBENCH R15のスコア。第7世代までのCore i7と比べると、マルチスレッド、シングルスレッドともにスコアが大幅に向上している

 続いてPCMark 10の結果を紹介しよう。PCMark 10のExtended Scoreは2839と平凡だが、そこはグラフィックスカードを搭載していないことが要因だ。詳細スコアを見ると、Essentialsシナリオは7267ポイント、Productivityシナリオは7030ポイントと十分に高い。一般的な家庭用途やビジネス用途では、CPU性能が高い分、かなり快適なパフォーマンスが得られる。一方、Digital Content CreationシナリオとGamingシナリオは統合GPUしか利用できないために3795ポイント、907ポイントと低めだ。

PCMark 10(Extended)のスコア。Overallは200ポイント台だが、各シナリオのスコアを見れば十分なパフォーマンスであることが分かる。弱いのはGPUを利用するテストだ

 PCMark 10のDigital Content Creationシナリオには、確かに映像編集系のテストも含まれるが、これはGPUアクセラレーションを利用するとポイントが高くなる内容になっている。その点ではスコアが低いものの、先ほど映像編集用途によいのではと指摘し通り、主にCPUを利用するソフトウェアレンダリングであれば、Core i7-9700Kの性能は発揮できる。トランジションなどを効かせ、プレビューを快適に再生したければグラフィックスカードの搭載を検討すればよい。そうした用途であれば、ハイエンドGPUを利用するまでもなく、スリムPCに搭載できるGPUで大丈夫だ。

 PCMark 10で十分に高かったEssentialsやProductivityシナリオだが、正確にいえばもう少し高いスコアであってもおかしくはない。そこはメモリがシングルチャネルのDDR4-2400だったり、ストレージがHDDだったりといった点が影響している。特にHDDでは、PCMark 10のApp Start-upテストでスコアを大きく下げる要因になっている。そのあたりをCrystalDiskMarkで確認しておきたい。

 評価機に搭載されていたのはSeagateのST1000DM010で、いわゆるBarracudaシリーズだ。回転数が7200rpmと、HDDとして見れば速いモデルであるが、CrystalDiskMarkで計測した結果は、シーケンシャルリードで211MB/秒、同ライトで187.9MB/秒。さらにランダムアクセスでは、4KiB Q8T8リードが1.511MB/秒、Q32T1リードが1.563MB/秒あたりで、その他のリード・ライトは1MB/秒未満となっている。

 SSDならSerial ATA接続モデルでもシーケンシャルリード・ライトは500MB/秒前後、ランダムも50〜100MB/秒以上出る。実運用上では、例えば、エクスプローラを開く際やアイコンをダブルクリックしてアプリケーションを開く際、やはり待たされる間がある。Windows 10では、プログラムの起動にWindowsキー+検索機能を利用することも多いが、Windowsキーを押してから実際に表示されるまでにラグを感じる。

 これは同じCPU、同じメモリでもSSD搭載モデルなら瞬時に開くところだ。先の章で紹介した通り、iHS430シリーズのストレージ系カスタマイズは特に柔軟であり、格別予算が厳しい場合でなければ、SSDモデルを、あるいはSSD+HDDモデルを選んでいただいた方が幸せだろう。

CrystalDiskInfoで見た評価機のHDD(画面=左)と、CrystakDiskMarkでのスコア(画面=右)。HDDなりのスコアだが、SSDが一般的となった今では実際に運用していてもアプリケーションのレスポンスにラグを感じる

 さて、統合GPU、さらにはメモリがDDR4-2400のシングルチャネルということで、PCMark 10などではグラフィックス関連テストのスコアが振るわなかったが、ゲームにおいてどの程度まで楽しむことができるのか、3D系ベンチマークの結果も見ておきたい。

 まず3DMarkだが、Fire Strikeは1091ポイント、それよりも少し軽いSky Diverで4630ポイントだった。統合GPUという点で見れば、これでも以前と比べてだいぶ良いスコアになってきている。例えば、iGS430シリーズで採用されているGeForce GTX 1050カードならFire Strikeで6000〜7000ポイントあたりになるのでそこの性能差は大きい。ただ、1000ポイントの統合GPUでも、ゲームタイトルを選べば十分に楽しむことは可能だ。

3DMarkのFire Strike(画面=左)とSky Diver(画面=右)のスコア

 統合GPUでも楽しめるタイトルの代表格がドラゴンクエストXだろう。ドラゴンクエストX ベンチマークソフトで計測すると、1920×1080ピクセル、最高品質で4976ポイントの「普通」評価。これは余裕のないスコアだが、一段階画質を落として標準品質とすれば、6103ポイントで「快適」評価に上がる。

ドラゴンクエストX ベンチマークソフトの結果。解像度は全て1920×1080ピクセル。左から最高品質、標準品質、低品質

 もう1つ、World of Tanks enCoreを試したところ、まずプリセットの「最低」(1366×768ピクセル、アンチエイリアスなし)ならば18180ポイントで「高いパフォーマンス・レーティング」、1つ上の「中」(1920×1080ピクセル、アンチエイリアスなし)ならば3800ポイントと下がるがそれでも「中程度のパフォーマンス・レーティング」が得られ、ここまではプレイできそうな印象だった。さらに上の「超高」(1920×1080ピクセル、アンチエイリアスTSSAA HQ)では1466ポイントで「低いパフォーマンス・レーティング」「許容可能な結果」とあるが正直、引っ掛かりを感じる映像だった。

World of Tanks enCoreのスコア。左からグラフィック品質「超高」「中」「最低」の順。超高の結果で「許容可能」とあるが、実際の映像を見ると厳しく、プレイするなら中か最低が妥当

 このように、負荷が軽めのゲームタイトル、1920×1080ピクセル以下の解像度で標準程度の画質設定を選べばプレイは可能だ。これ以上を望むならば、iGS430シリーズを検討すべきだろう。

 ちなみにメモリのカスタマイズで2枚組(デュアルチャネル動作)にしたり、DDR4-2400からDDR4-2666へと変更したりすることで、若干のパフォーマンスアップは可能だが、このカスタマイズはGPU性能に関してそこまで大幅な向上が見込めるものではなく、1つ上のクラスのゲームを楽しめるようになったり、画質設定を一段階引出げられたりするようなことは望めない。もっとも、メモリ性能はPC全体のパフォーマンスにもある程度影響するので、デュアルチャネル化とDDR4-2666化でLM-iHS430HDの性能を最大限引き出すという意味では効果がある。メモリがやや高価なタイミングであるところがネックだが、ストレージとともにカスタマイズのポイントとしてほしいところである。

 最後に動作音について簡単に言及しておきたい。前面ファンのところでも触れたが、スリムPCはそのスリムさゆえにファンの口径が小さく、小さいぶん回転数も高くなる傾向にある。それに、スリムPCはデスク上に置くことが多く、ミドルタワーなどのように床置きする場合と比べて騒音源が耳に近く、同じ音量でも気になりやすい。LM-iHS430HDのファン制御は、比較的よく音量を抑えられているのではないかという印象だった。

 CINEBENCH R15やPCMark 10の映像を扱うテストのようにCPUに高い負荷が掛かった状態では少しうるさく感じる動作音だ。一方で、Webサイトの閲覧やビジネス文書の作成などであれば、ほとんど気にならないレベルといえる。ゲームベンチマークも、特に負荷の高いシーンでなければ許容範囲内だ。

カスタマイズで自分にぴったりのPCに化けさせよう

 今や珍しくなりつつあるスリムデスクトップPCだが、ここまで見てきた通り、LUV MACHINES Slim LM-iHS430HDは、最新のCore i7による高いパフォーマンスやストレージの拡張性、メンテナンスしやすい設計など、ゲーム用途を求めなければ死角のない製品に仕上がっている。

 ただ、価格面でお買い得感が高いベースモデルよりも、メモリとストレージを強化することで本来の性能を引き出せる印象はある。豊富なBTOメニューによりユーザーそれぞれのニーズにぴったりのPCに仕上げることができるのは、マウスコンピューターの真骨頂。省スペースでCPU性能の高いPCが欲しいと考えている方は、LUV MACHINES Slim LM-iHS430HDをベースにカスタマイズしてみてはいかがだろうか。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.