ちなみにカメラの性能はというと、これも必要十分な性能に感じた。
実際に何枚かサンプルを撮ったので確認してみてほしい。
これからAppleは、「Arcade」という月額基本料金で質の高い体験のゲームがプレイし放題になるサービスや、有名なスタッフがオリジナル番組をつくる「Apple TV+」などのサービスに力を入れていくということだが、こうしたサービスもiPod touchでも十分満喫できることだろう。
従来のiPod touchでは当たり前だが、最近のiPhoneに慣れていて、逆にiPod touchに慣れていない人向けに注意点を書いておこう。
まずRetinaディスプレイ(640×1136ピクセル、326ppi)仕様だが画面は4型と小さめ、またFace IDの顔認証はおろかTouch IDによる指紋認証もないため、しっかりとセキュリティ対策でパスコードを設定しても、使う度に画面でそれを打ち込まなければならない(少し前までは、これが当たり前だったが、今振り返ると、少し煩わしくて不用心だ)。最も、家の中だけで使うなど用途が限定されていれば、それも問題にならないだろう。
iPod touchは、これまでも既に他の携帯電話を利用しているなどの理由でiPhone購入に踏み切れないものの、iOSを使いたい人が愛用している機種だった。
そういった既存のiPod touchユーザー目線から見ると、久々のアップデートでプロセッサは大幅に強化され性能は2倍(グラフィック性能は3倍)、AR対応やグループFaceTimeも正式採用しているなど、Appleが推す最新のテクノロジーを満喫するためにも是非ともアップグレードしたい機種だ。
容量も32GBと128GBの他に、新たに256GBが加わり「iPod」本来の使い方、音楽や映像を楽しむ、といった用途でも豊富なコンテンツをため込んでおくことができる。
それにしてもこのiPod touch、5月28日というタイミングでの突然の発表にはビックリさせられた。というのも、6月3日からは毎年恒例のWWDC(Appleの世界開発者会議)が開かれてiOSやmacOSの次期バージョンや、Apple製品の今後の方向性などが示される発表が行われる、その前夜とも言えるタイミングだからだ。
実はApple的には最近、大きな発表の直前に新作ハードウェア製品を発表してしまうというのが密かなブームになっているのかもしれない。
3月に行われたサービス系の発表会では、その前週に5日ほど連続でハード、ソフトのリリースを行い、発表会ではこれから力を入れていく「サービス」に焦点を絞った話が行われた。
今回はその時ほど連続での発表を行っていないが、このiPod touchが登場した他、米Appleのサイトに、App Storeがアプリ開発者のこともアプリ利用者のこともよく考えて、かなりの責任感を感じながら運営しているストアであることを紹介したこんなWebページ「Dedicated to the best store experience for everyone.(すべての人にとってベストなストアになることに身をささげて)」が公開されたり、iTunes Storeの担当者が米メディアのインタビューに、ミュージシャンのことを第一に考えたストアであると答えていたり(米国でAppleが他の類似サービスと一緒くたにされて批判を受けていることを受けた対応)といった動きが活発化してきている。
これらの情報発信が指し示しているのは、Appleはこうしたことを前提条件として知っておいてもらった上で、もう少し先のレベルの発表、何か新しい展開につながる発表を用意しており、そちらに目を向けてほしい、というサインだと筆者は受け止めている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.