シリアルがないスマホにシリアルしかないAISレシーバを接続して船旅に出た:海で使うIT(1/3 ページ)

» 2019年08月02日 12時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 洋上で自分の位置を知り、目的地までの針路を把握することは、航海術の基本だ。前世紀(といっても1990年代後半)まではGPSも一般的ではなく、沿岸が視認できる航路ならハンドコンパスと三角定規と海図を用いる地文航法、陸地が視認できない航路なら六分儀と天測暦と海図を用いる天文航法に頼るしかなかった(なお、電波航法については受信機が高額でごく一部の大洋横断ヨットを除くと利用はほとんどなく、1990年代のGPSと同様に一般的とはいえなかった)。

 しかし、2000年に入ってGPSが普及し、2000年代後半からはPCで購入できる電子海図と航法支援ソフトウェアが登場して、個人が所有する小型船舶でも海上における自分の位置の把握が容易になった。

令和の時代は「スマートフォンで電子海図と航法支援」が主流に

 加えて、(この連載でも繰り返し紹介しているように)個人でも購入できるAIS(Automatic Identification Systemについてはこちらで解説)レシーバーをAISデータに対応した電子海図と航法支援ソフトと組み合わせることで、自船の周囲にいる船舶の位置や針路、速度を電子海図に表示して航空管制用ディスプレイのように、自船の位置との関係を把握できるようになった。航法支援ソフトウェアの機能によっては、自船と衝突する可能性のある他船が接近したら警報を出すことも可能だ。

2010年の連載で紹介した2万円台のPCと2万円台の電子海図&航海支援ソフト、2万円台のAISレシーバーで構成した航海支援システム

 一方、2010年代に入るとAndroidやiOSで利用できる電子海図と航法支援アプリが登場した。今や誰もが所有しているタブレットデバイスやスマートフォンが、本船で使っている高価格多機能な「ECDIS」と同じような航法支援システムとして利用できることもあって、現在、急速に利用者が増加中だ。また、それに伴って電子海図が利用できる航法支援アプリも数を増えている。

2011年の連載で紹介した「G'zOne IS11CA」とその上で動作する電子海図&航法支援アプリ「NAVIONICS」

 耐衝撃性と防水性能をもった丈夫なタブレットデバイスやスマホなら、操船中に手元で航海情報を確認できるので、私も実際に使っていてかなり役に立っている。今ではPCで電子海図と航法支援ソフトウェアを使うことはほとんどなくなった……。

 と、言いたいところだが、他船の動向が確認できるAISデータを参照するにはPCを使うしかなかった。これは、所有しているAISレシーバーのインタフェースがRS-232Cのシリアルポート用D-Sub 9ピン出力しか持っていないためだ。

 一応、世の中にはD-Sub 9ピンをMicro USBに変換できるアダプターも存在するが、防水非対応のAISレシーバーは船内に設置したとして、タブレットデバイスやスマホはデッキに置いて手元で使いたい(これは、PCと接続するときにD-Sub 9ピンのRS-232CをType-A USBに変換できるアダプターを使っているときから解決したかった問題でもある)。また、防水デバイスの多くは本体にケーブルを接続するためにインタフェースのカバーを外すと、そこから内部に浸水するモデルがほとんどだ。

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