シリアルがないスマホにシリアルしかないAISレシーバを接続して船旅に出た海で使うIT(3/3 ページ)

» 2019年08月02日 12時00分 公開
[長浜和也ITmedia]
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「AISpilot」とiacobusの「Sailtracker」を試す

 AISpilotは、航海情報とAISデータの表示に特化したアプリだ。その分、付属する電子海図の表示精度は低い。航海情報ではGPSから取得した緯度経度に対地速度、船首方位、目標方位、目標距離、到達予想時刻、予定航路からのズレなどを細かく設定できる。

 また、AIS情報では、海図上に移動ベクトル(針路と速度成分)を表示する他、AISで取得した自船からの距離、船首方位、対地針路、速度、目標方位などの航海情報に加えて最接近予想位置までの距離とCPA到達までの予想時間まで算出して表示する。ただし、衝突アラームなどには対応していない。

AISpilotは、簡易電子海図にAISで取得した他船の位置情報に加えて針路、速度のベクトルも表示できる
個別データでは、最接近地点までの距離(CPA)と、そこに到達するまでの残り時間(TCPA)まで求めて表示する

 一方のSailtrackerは、主な目的がヨットの帆走データの記録(風向と風力に対してヨットがどれだけの速度が出せるか)と設定した目標までの針路や目標に対する速度、風向に対する速度を表示といったレースにおける利用にある。それに地図上に自船位置とAISで取得した他船位置を表示する。

 なお、マップは電子海図ではなくGoogle Mapを使用する。地図におけるAISデータの表示アイコンは船の種別ごとに色を分けるなど見栄えはいい。ただし、移動ベクトルの表示や衝突予想位置までの距離と時間の表示など、まさにAISで利用したい情報の表示には対応していない。

「Sailtracker」でGoogle Mapの上にAISデータで取得した他船位置を表示する。船の種類によって色分けしているのが分かる
1隻ごとにAISデータを詳細に確認できる。ただし、衝突予想に関する値は求めてくれない

 なお、今回の検証航海ではREX-60BTをAISレシーバーの「Smart Radio 161」(SR161)に接続した。SR161はRS-232Cの電力供給に対応していないため、REX-60BTを駆動するには5V 100mAの電力を供給する必要があった。船に搭載した12Vバッテリーを使う場合、12Vから5Vへの降圧回路を組み込んだ変圧モジュールが必要になるが、今回は手間を減らすため、モバイルバッテリーを用意してUSBから5Vを供給している。REX-60BTの消費電力は100mA程度なので、10000mAhのモバイルバッテリーなら長期航海でも十分まかなえるだろう。

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