AISpilotは、航海情報とAISデータの表示に特化したアプリだ。その分、付属する電子海図の表示精度は低い。航海情報ではGPSから取得した緯度経度に対地速度、船首方位、目標方位、目標距離、到達予想時刻、予定航路からのズレなどを細かく設定できる。
また、AIS情報では、海図上に移動ベクトル(針路と速度成分)を表示する他、AISで取得した自船からの距離、船首方位、対地針路、速度、目標方位などの航海情報に加えて最接近予想位置までの距離とCPA到達までの予想時間まで算出して表示する。ただし、衝突アラームなどには対応していない。
一方のSailtrackerは、主な目的がヨットの帆走データの記録(風向と風力に対してヨットがどれだけの速度が出せるか)と設定した目標までの針路や目標に対する速度、風向に対する速度を表示といったレースにおける利用にある。それに地図上に自船位置とAISで取得した他船位置を表示する。
なお、マップは電子海図ではなくGoogle Mapを使用する。地図におけるAISデータの表示アイコンは船の種別ごとに色を分けるなど見栄えはいい。ただし、移動ベクトルの表示や衝突予想位置までの距離と時間の表示など、まさにAISで利用したい情報の表示には対応していない。
なお、今回の検証航海ではREX-60BTをAISレシーバーの「Smart Radio 161」(SR161)に接続した。SR161はRS-232Cの電力供給に対応していないため、REX-60BTを駆動するには5V 100mAの電力を供給する必要があった。船に搭載した12Vバッテリーを使う場合、12Vから5Vへの降圧回路を組み込んだ変圧モジュールが必要になるが、今回は手間を減らすため、モバイルバッテリーを用意してUSBから5Vを供給している。REX-60BTの消費電力は100mA程度なので、10000mAhのモバイルバッテリーなら長期航海でも十分まかなえるだろう。
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