では電源ボタンおよびメニューを操作するためのボタンはどこにあるのかというと、本体背面に用意されている。このボタンは前述のスタンドを貫通し、背面側から押せる構造になっており、正面から見てボタン類のない、すっきりとしたデザインを実現している。
ユニークなのは、この電源ボタンがジョイスティック式になっており、OSDメニューの操作(項目の上下移動/決定/戻る)を行えることだ。操作はややコツを要するが、OSDメニューそのものが見やすいため、使い勝手に支障はない。また国産製品ということもあって、他社製品によくある翻訳時に生じるおかしな日本語もない。
あえてマイナス部分を挙げるとすれば、明るさや音量調整のような利用頻度の高いメニューがOSDメニューの下の階層にあり、直感的に操作できないことだ。他社製品では、これらだけは上位階層に配置したり、あるいは独立したボタンを残していたりする製品もあり、それらと比べた場合は一手間かかることになる。
以上のように、例えばタッチ対応や4K対応、あるいはバッテリーの内蔵といった突出した特徴こそなく、機能やスペックだけ見るならば圧倒的な優位性はないが、いい意味で手堅い作りで、使っていて安心感がある。
他社のモバイルディスプレイでは、特徴を派手にアピールする一方、詳細な仕様が不明な製品も多いが、本製品は前述の動作環境温度だけでなく、LCDのドット抜け個数が3個以下という基準値も明記するなど、きちんと詳細仕様を公開しており、信頼が置ける印象だ。オプションで用意された延長保証サービスなどが選べるのも魅力である。この点においては、過去に本稿でレビューした他社製品と比べても、頭一つ抜けている。
また何より、これでいて実売価格が税込2万7500円と、3万円を切った価格で手に入るのは大きい。それでいてケーブルやACアダプターなどが全部付属し、カバーは全面を覆うため別途保護ケースを調達する必要がないなど、安さが見せかけでないのは好印象である。本稿で見てきたように細かなツッコミどころはあるが、トータルではプラスというのが筆者の評価だ。
基本的に直販サイトでの取り扱いのみとなる本製品だが、モバイルディスプレイを探しているユーザーは、候補に入れておくべき製品と言えそうだ。
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