ここ1年ほど、国内外さまざまな周辺機器メーカーが、モバイルディスプレイの市場に参入している。かつて、機能に不満があっても他に選択肢がなかった頃とは様相が一変し、現在は画面サイズや機能、さらには価格など、何を重視するかによって、製品はよりどりみどりの状況だ。
そのような中、今回紹介するエプソンの「LD16W61」は、実売で税込み2万7500円という、低価格を売りにした15.6型のモバイルディスプレイだ。素性が知れずサポートも期待できないノーブランド製品ならいざ知らず、国内の有力メーカーであるエプソンが、発売時点で2万円台半ばという低価格でモバイルディスプレイを投入するのはなかなか衝撃的だ。
果たして、同等サイズの他社製品と比べてどのような違いがあるのだろうか。メーカーから実機を借用できたので、レビューをお届けする。
まずは本機の基本スペックをチェックしておこう。画面サイズは15.6型、画面解像度は1920×1080ピクセルで、ADS(Advanced super Dimension Switch)方式のパネルを採用している。コントラスト比は800:1、視野角は水平/垂直ともに約170度ということで、モバイルディスプレイとしては一般的な仕様だ。
本体にはスピーカーを内蔵する他、ステレオミニジャックも搭載するという、音声再生にも向いた仕様になっている。タッチ操作には対応しておらず、純粋なディスプレイ機能のみの製品だ。パネルはアンチグレアで反射も少なく、目に優しい。
接続方式はUSB Type-CとHDMIの2系統という、最近のモバイルディスプレイの多くが採用している方式だ。パッケージにはUSB Type-CケーブルとHDMIケーブル、さらにUSB A-Cケーブルに加え、USBのACアダプターも付属するなど、一部のケーブルすら別売の他社製品に比べ、付属品は充実している。
本体重量は公称で630gとなっているが、これにはカバーが含まれておらず、実測では本体618g、カバーを合わせると合計で1115gとなる。1kgを超えてはいるが、15.6型というサイズを考えると、カバー込みでこの重量というのはむしろ善戦している。
ざっとスペックを見た中で気になったのは、動作環境の温度が10〜35度とやや狭いことだ。今夏は最高気温が一部で40度を超えたことで、ネットワーク製品の動作環境温度が気温に対応できなくなっていることがネットで話題になったが、それでもほとんどの製品は40度までは対応していた。
本製品はそれよりワンランク低い35度が上限となっており、使い方によっては簡単に超えてしまいかねない。これからの季節はまず問題ないとは言え、直射日光などによる温度上昇には注意したい。ただし他社製品、特に海外製品は、動作環境温度そのものを公開していないケースも多いので、本製品だけが一概にマイナスというわけではない。
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