それでは、GeForce RTXシリーズの真骨頂ともいえるDXRを有効化した場合のパフォーマンスを比べていこう。
まず、3DMarkのDXRテスト「Port Royal」を実行してみた。結果としては、旧世代のRTX 2080 TiがRTX 3070 TiやRTX 3070を上回るスコアを記録した。スコア差は、RTX 3070 Ti比で3%、RTX 3070比で5%ほどだが、「テストによってはRTX 2080 Tiの方が良いスコアを残せる」程度の認識で構わないだろう。
DXRに対応するゲームを代表して、先ほどもテストしたCONTROLにおいてDXRを有効化した場合のフレームレートをチェックしてみよう。RTの設定を「高」とした他は、先のテストから設定を変えていない。
このゲームでは、全ての解像度においてRTX 3070 Tiの平均/最小フレームレートがRTX 2080 Tiを上回った。RTX 3070 Tiの結果を見ると、フルHDでは平均120fps超、WQHDでも平均90fps超を記録しており、ある程度リッチな画質設定で高リフレッシュレートディスプレイを組み合わせて楽しめそうである。
ちなみにRTX 3070はWQHDまではRTX 2080 Tiよりもわずかに優位となったが、より負荷の高まる4Kでは逆転を許している。
最後に、システム全体の消費電力をチェックしよう。3DMarkのTime Spy Extremeを実行中の最高消費電力を「高負荷時」、PCの起動後10分間何もせず放置した状態後の消費電力を「アイドル時」としてワットチェッカーで計測した。
アイドル時の消費電力はいずれも55〜56W前後にとどまるが、高負荷時のピーク消費電力はRTX 3070 Tiが389W、RTX 3070が311W、RTX 2080 Tiが339Wという結果になった。率直にいうと、RTX 3070 Tiは性能の割にかなりのパワーイーター(電力食い)である。
ゲーミング用途でGPUを選ぶ人はワットパフォーマンスをあまり気にしないとは思う。とはいえ、多少ながらもマイナスポイントであることには違いない。NVIDIAの推奨する通り、電源ユニットは余裕をもって容量750W以上のものを用意すると無難といえる。
GeForce RTX 3070 Tiは、GeForce RTX 3070を確実に上回る性能を発揮する。環境次第では、前世代の最上位GPUであるGeForce RTX 2080 Tiに対しても優位に立てる。
しかし、ベンチマークテストの結果からも分かる通り、RTX 3070やRTX 2080 Tiと比べると、フレームレートの差は10%未満に収まることが多い。とりわけ、フルHDゲーミングでは両者に対する優位性を見いだしづらい。4K環境でAAA級タイトルを快適に遊ぶのであれば、さらに強力なGeForce RTX 3080やGeForce RTX 3080 Tiという上位製品がある。
「どの解像度で、どんなタイトルをプレイするか?」ということをしっかり吟味してないと、RTX 3070 Tiのメリットは見いだしづらい。それでも、グラフィックスカードの実売価格次第という面もあるが、WQHD/4K環境でゲームをプレイする場合の選択肢の1つにはなるはずだ。
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