これに加えてもう一つ、近年ありがちなパターンがある。それは、新規事業の立ち上げに伴って、新しいソリューションを試してみたものの、それがなかなかフィットせず、結果的にユーザー対応にしわ寄せがいくケースだ。
具体的には、これまでサポートは社内スタッフが行っていたのを、日本語対応をアピールする海外企業にアウトソースして、サポートの品質が著しく低下するパターンが挙げられる。
メーカーとしては、サポートを外注することでコストを減らすことにかねてより興味があるが、既存のサポート部門を切り捨てていきなり切り替えるのはリスクもあるし、既存部門の反発もある。それ故、新しくできた事業部で、試しにアウトソースを行ってみようというわけだ。
こうしたアウトソース先は当たり外れがあるので、一概に全部が悪いとはいわないが、結果的に、これまで円滑なコミュニケーションを取れていたメーカーのサポートが、新しい事業部では製品に対する質問の答えがすぐ返ってこないのはおろか、日本語の受け答えもカタコトで、伝わっているかどうかあやふや……といった状況に陥るケースはよくある。
この他にも、新しいシステムを試験導入した結果、業務フローとマッチせずに大混乱を引き起こしたり、電話窓口を廃止したことでクレームが殺到したり、といったトラブルは新規事業につきものだ。むしろ新規事業の存在自体、コスト改革を目指す経営層からすると、新しい試みの実験台となっている節すらある。
ユーザーとしては、お気に入りのメーカーが新規事業を始めた場合、それに期待するのは構わないが、サポート面については慎重に見極めた方がよい。例えば、サポートの問い合わせ窓口が他の製品と別になっていたりするのは、その典型例といえるだろう。注意してかかるに越したことはない。
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