人気のPCアクセサリーが「そっくり製品」に駆逐される悲しい事情牧ノブユキの「ワークアラウンド」(1/2 ページ)

» 2022年06月29日 15時45分 公開
[牧ノブユキITmedia]
work around

 他社が画期的な新製品を発表すると、それを分析してよく似た製品を作り、プラスアルファの付加価値をつけたり、価格を安くしたりして売り出すことで知られる家電メーカーがある。

 PCアクセサリーの業界でも同様に、先行して発売された製品にそっくりの製品が、しばらくして別のメーカーから登場することがある。もっともこれらは前述の家電メーカーとは、いささか異なる事情が関係していることが多い。具体的にどのような理由があるのかを見ていこう。

待っていればヒット製品のそっくり製品が売り込みに来る

 国内のPCアクセサリーメーカー(以下メーカー)が扱う製品の多くが、海外事業者の製品の取り売り(買い付けた製品の販売)であることはよく知られている。パッケージにシールを貼っただけのものもあれば、ロゴを入れて自社製品らしく見せるパターン、さらに筐体だけはオリジナルにして別製品のように見せるパターンなど、手口はさまざまだ。

 当然ながら元の製品に手を加えれば加えるほどコストはかかるが、ボディーデザインがそのままだと日本人にあまり好まれない場合も少なくないため、それらをカスタマイズすることで出荷増が見込めるのであれば、積極的に改変は行われる。ただその場合でも、変更されるのはあくまで「ガワ」だけで、中身はそのままであることがほとんどだ。

 こうした状況下において、メーカーにとって重要なのは、新しくリリースされた海外製品をいかに早く買いつけられるかだ。もたもたしているとライバルメーカーに先を越され、取り扱いができなくなってしまう。これを製品開発と呼んでいいのかはさておき、多くのメーカーはこうした争いを繰り広げているのが現状だ。

 さて、こうした場合に、ヒットした製品のそっくり製品が後から登場するパターンは大きく分けて2つある。まずはオリジナル製品を参考にして別の海外事業者が作ったそっくりの製品を買い付けたパターンだ。ここでポイントになるのは、オリジナル製品のそっくり製品を作るよう、メーカーが海外事業者に具体的に指示したわけではないことだ。

 現在は、下請けにあたる海外事業者も、同業者のどの製品がどのくらい売れたのか、細かくリサーチを行っている。そのため「ヒットしたアレとそっくりなのを作って」とわざわざ指示しなくとも、海外事業者は同業者が製造してヒットさせている製品の模倣品を自前で作り、売り込みに来るわけである。

 この場合、メーカーが「他社のアレみたいなの扱ってないの」と声を掛けた時点で、海外事業者が「実はウチもそっくりなの作ったんですよ」と出してくるパターンもあれば、メーカーが他社動向を把握していない中で、海外事業者が「某社さんのアレがヒットしているらしいですけど、ウチのやついかがですか」と売り込んでくることもある。

 つまりメーカーとしては、待っていれば他社の売れ筋情報と、その競合アイテムがセットで手に入るわけである。後はロット数を決めて、社内で稟議を通すだけだ。こんなに楽な製品開発はない。

同じ製品を仕入れて売るパターン、外注に作らせるパターンも

 もうひとつ、他社がヒットさせた海外事業者の製品そのものを仕入れて販売するという、露骨極まりないパターンもある。最初に仕入れたメーカーが独占契約を結んでおらず、別メーカーへの供給が可能な契約になっている場合は、こうしたことが起こりうる。

 また後から声を掛けてきたメーカーの方が取引条件がよいものの、前のメーカーとの間で独占契約を結んでいて両者への供給がNGという場合、独自の筐体に変更して別製品であるかのように偽装して流通させるパターンもある。同じ売場に並ばなければ、意外と気付かれないことも少なくない。

 これらは主に海外事業者でよくあるパターンだが、海外からの仕入れではなく、国内の外注業者に作らせているバッグなどのサプライ品も、こうした模倣品が発生しがちだ。こちらは先行するメーカーの製品とそっくりの製品を作った場合に原価がいくらになり、どのような点が相違点として出てくるかを、製品サンプルを入手するところから外注業者に丸投げする。

 もちろんその段階で、意匠をパクったと言われないように、実用新案特許の部分はきちんとクリアされた上で製品が企画され、製品として売り場に並ぶ。先行メーカーの横に並べられることになるので、実売価格は少し安く設定され、またパッケージも似たデザインが用意される。

 買う側からすると、どちらが先に発売されたかは問題ではないので、結果的に後発の製品が、先行していた製品を駆逐する結果になりがちだ。市場調査の段階からほぼ外注業者任せとなるため、売るメーカーの側も、完成品が仕上がってくるまで、仕様はほぼノーチェックということすらある。

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