米Micron Technologyは11月16日、1β DRAMの量産製造開始セレモニーをマイクロンメモリ ジャパン(旧エルピーダメモリ)の広島工場で実施した。
Micron Technologyの日本法人としては、最先端メモリ製品の販売およびマーケティングを行うマイクロン ジャパン(高橋康代表取締役社長)と、最先端メモリ製品の開発や設計、生産を担うマイクロンメモリ ジャパン(ジョシュア・リー代表取締役/小野寺忠代表取締役)があり、今回は後者の広島工場/広島開発センター(広島県東広島市)を訪れた。
Micron Technologyは11月1日に、1βノードDRAMの量産体制が整ったこと、スマートフォンメーカーとチップセット製造パートナー向けに、業界初となる1β(1ベータ)DRAM(LPDDR5X)テクノロジーの認定サンプルを出荷開始したと発表済みだ。同プロセスでの量産は日本で開始し、次は台湾で行うとしている。
1β DRAM1ダイあたりの容量は16Gbit、データ転送速度は8.5Gbpsで、従来の1αプロセス比で消費電力は最大15%削減でき、メモリ密度は35%以上向上したという。同社は業界に先立って176層のNANDや232層のNAND、1αプロセスのDRAMといった技術を投入してきたが、この1βプロセスは新たなマイルストーンだとした。
台湾やシンガポール、米国(マナサス)にも生産拠点はあるが、「広島は開発拠点と生産工場が一緒にあるのがユニークで、開発から出荷までスピーディーに行えるリーディングエッジの製品を市場にいち早く提供できるのが特徴だ」(マイクロンメモリ ジャパン Fab15 広島工場 アドバンストテクノロジー部門 シニアディレクター 野坂耕太氏)という。
このLPDDR5XのDRAMは、2023年に市場に投入されるスマホに搭載予定だという。今後は、PCなどのクライアント機器や産業機器、データセンターなど幅広い分野で1βプロセスでの製造を行っていく予定だ。
モバイルデバイスにおいて、写真やビデオなどのデータが日常的に増えており、一方でAIや自動車分野でも多くのデータが生み出されており、これらの拡大するデータのニーズに応えていく必要があるとした。
業界では微細化に向けてEUV露光(極端紫外線露光)への移行が進行中だが、同社ではコストパフォーマンスが高い独自のマルチパターニングの液浸リソグラフィー技術を継続する。
EUV露光は、2024年以降の立ち上げを見込んでいる1βの次の「1γ」世代で導入予定だが、日本政府やサプライヤーに働きかけを行っているとのことだ(Micron Technology 首席副社長 グローバルオペレーション担当 マニッシュ・バーティア氏)。
続いて、工場内部の模様を見ていこう。
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