日本でも9月から利用できるようになった6GHz帯の無線LAN「Wi-Fi 6E」。しかし、ハードウェア的にはWi-Fi 6Eに対応しているものの、法令上の問題から国内では利用できないというPCやスマートフォン、タブレットも少なくなかった。
そんな中、Googleの最新スマートフォン「Pixel 7」「Pixel 7 Pro」の日本向けモデルが12月に行われた月例ソフトウェア更新によってWi-Fi 6Eに対応したとの情報を得た。手元にあるPixel 7で実際に確認してみよう。
Pixelスマートフォンのソフトウェア更新は、内容や機種によって配信容量が大きく異なる。Pixel 7(日本向けモデル)に対する12月分の月例更新の容量は471MBだ。
「471MBってちょっと容量が大きくない?」と思うかもしれないが、事実、OSのバージョンアップを伴わない更新としては少し大きめである。バックグラウンドでの適用という面は差し引いて見てほしい所だが、再起動を促す画面に至るまで1時間弱かかった。
Pixel 7を手にしてまだそれほど時間はたっていないが、OSバージョンアップではない更新でここまで時間を要したのは初めてである。「これは大がかりな更新があるのでは……?」と期待がふくらむ。
以前の記事でも述べた通り、現在の電波法と関連する各種規則の下では、6GHz帯の無線LANを利用するには認証の「追加取得」または「再取得」が必要となる。
PCでの採用例も多いIntel製のWi-Fi 6E対応無線LANモジュール「Intel Wi-Fi 6E AX211」では、既に認証を取得していた2.4GHz/5GHz帯も内包する形で認証を再取得して対応した。これにより、6GHz帯(≒Wi-Fi 6E)に対応するハードウェアでは、電波法に基づく「認証番号」は新しいものに書き換わる(参考記事)。
スマートフォンの場合、認証番号は「電磁的表示」、つまり画面上で表示するのが一般的であるため、6GHz帯に関する認証は追加取得(=6GHz帯のみ別の認証番号とする)でも再取得(=2.4GHz帯/5GHz帯を含めて新しい認証番号を取得する)でも問題はない。
どちらにしても、Pixel 7がWi-Fi 6Eに対応したのであれば「規制ラベル(Regulatory labels)」表示には何らかの変更があるはずである。
結論からいうと、Pixel 7は新しい認証番号を取得してWi-Fi 6Eへの対応を果たした。ソフトウェア更新を適用すると、電波法に基づく認証番号は「003-220133」から「003-220200」に変更される。加えて、利用場所に関する注意書きに6GHz帯に関する説明も追記される。この点はPixel 7 Proでも同様だ。
なお、電気通信事業法に基づく認証番号は変わらない。変わるのは、あくまでも電波法に基づく認証番号である。
ということで、12月の月例更新でPixel 7/Pixel 7 Proは国内でにおけるWi-Fi 6Eが“解禁”された。通信パフォーマンスにどのくらいの差が出るのかどうかは、後日検証したい。
両モデルの先代に当たる「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」も、ハードウェア的には6GHz帯の無線LANに対応している。理論上はPixel 7/Pixel 7 Proと同じ手法でWi-Fi 6Eに対応できるものと思われるが、今回の月例更新ではWi-Fi 6E対応は盛り込まれていない。今後に期待しよう。
もっといえば、PC各社も「ハードウェア的にはWi-Fi 6E対応」なモデルの“機能解放”を早く進めてほしい所である。
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