極め付きは「Apple Pencil」です。使い勝手や反応ではなく「本体にマグネットで装着できるか」が大きな違いとなります。10.9インチiPad(第10世代)が対応しているのは「Apple Pencil(USB-C)」か「Apple Pencil(第1世代)」です。どちらも、ペアリングを含めて手間がかかります。
ペアリングには有線接続が必須です。Apple Pencil(第1世代)の場合、Pencil側のコネクターがLightning端子であるため、専用の変換コネクターが必要になります。なんと、これがないとまずペアリングができないため、Pencilが利用できません。
そして、もちろん充電にも有線接続が必要です。マグネットで充電できる第2世代モデルやApple Pencil Proの手軽さから考えると、これはマイナスポイントになるでしょう。
「iPadを使うのはApple Pencilを使うため」という方も多いのではないでしょうか。この手間は使い勝手に地味に影響してきます。
お絵かきなど、細かなタッチやホバー機能が必要な方はより上位のモデルを使う価値が出てくると思います。しかし、私のような「ただメモ書きができればよい」レベルであれば、正直、ペンの反応がよければ後はペン先の物理的な書き心地の問題だと感じます。「無線充電やマグネット装着のためにApple Pencil Proが必要」というのも、少しやりすぎな感はあります。
そしてもう一つの悩みとなるのが、キーボードとトラックパッドです。ここではいったんサードパーティー製品は除いて考えます。
10.9インチiPad(第10世代)に限らず、Apple純正のキーボード「Magic Keyboard Folio」(4万2800円)ははっきりいって価格と折り合っていません。まず、10〜11インチiPadのキーボードはサイズの都合もあり、キーピッチは左右がやや変則です。(13インチ用は幅がとれるので問題ありません。)
先ほども触れましたが、ファンクションキーとして使えるキーがないのもマイナスです。カバータイプとはいえ、高級キーボードといわれるようなクラスのキーボード感とは全く異なります。
なお、細かなことを言うと、過去のiPadOSよりもキーボードの使い勝手は上がっています。ファンクションキーとしてよく利用する「平仮名」「片仮名」などの変換は、「Ctrl+j or k」などで代替できるのです。しかし、リモートデスクトップアプリを使ってWindowsを操作しようとすると、ファンクションキーがないのがダメージとなってきます……。
そして、iPadの特徴を捨ててしまいかねない「重さ」(最も軽いWi-Fiモデルで約477g)もデメリットです。キーボード装着時は1kgを超えてしまい、横向き固定となってしまうのも大きなマイナスですね。そもそも、iPadOSの文字入力が、さまざまなプラットフォームでATOKを利用している私からすると作業ネックになります。
このようなデメリットを受け入れて高価なキーボードカバーを購入するかは、決断が必要になります。そもそもキー入力の快適さを求めてキーボードを購入するのであれば「それはMacBookの方がよいのでは」というお話になってきます。
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