こうした状況に対して販売の現場はどうなっているか。都内の家電量販店に設置されたPCコーナーで販売員に聞いたところ、「普段からWindowsで使っているソフトをヒアリングし、OfficeやWebブラウザといった用途であればオススメしている」という。動画編集やゲームなど応用的なソフトを使う場合は、Arm版で動作するか、よく確認してから購入することを推奨しているようだ。
実際に詳しい人に状況を聞きながら購入検討できる実店舗の良さを感じられるが、一方で、ECサイトでは説明が不十分すぎるとも感じている。
例えば、Surface Pro(第11世代)やSurface Laptop(第7世代)の製品ページを見てみよう。Copilot+ PCならではの特徴や、高いパフォーマンス、バッテリー駆動時間などのメリットが強調されているが、搭載されているWindows 11がArm版であることは記載されておらず、ここまでに紹介したデメリットを消費者が認知できるとは考えにくい。
Appleが2020年から自社製品に搭載を始めたApple Silicon「Mチップ」もArmベースとなっており、高い省電力性とパフォーマンスの評価は非常に高い。今のところソフトウェアの移行もスムーズに進んでいる。Windows陣営もやっとCopilot+ PCでArmベースに移行し、そうしたメリット(+AIの付加価値も)を製品に反映させたいというのが思惑だろう。
筆者もArm版Windowsには非常に期待しており、「Windowsでもバッテリー長持ち」「モバイルでも高パフォーマンス!」──そんな時代がもうすぐ到来するとワクワクしている。Copilot+ PCやArm版Windowsを理解している人からは「意外と動くじゃん!」という声も聞こえてくる。
ただ、最近のCopilot+ PCの宣伝を見ていると、もうちょっと説明があってもいいのではないかとも思う。出荷台数を稼いで普及をごり押ししたいのではないかとも勘繰ってしまう(嫌いじゃないが……)。
移行には“痛み”が伴うものだが、実物を手にしてガッカリする人が生まれないことを祈るばかりだ。
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