プロナビ

エプソンダイレクトのデスクトップPCを一手に担う「ちくま精機」 訪ねて分かった1日修理や短納期を実現する“秘密”(3/5 ページ)

» 2024年12月17日 17時00分 公開
[大河原克行ITmedia]

組み立て工程は10個のセルで実施

 先述の通り、本体の組み立て工程もセル生産方式だ。セル(ブース)は10個用意されており、基本的には1つのブースで複数の機種を作る混流生産となる。

セル生産 本体の組み立て工程もセル生産方式となる
10ブース 生産ブースは10個用意されている
HDD組み付け中 HDDを組み込んでいる様子
HDD組み付け中 HDDをネジで固定している
コンベアに 組み立てられたPCをは、コンベアに載せられて検査工程に運ばれる。ご覧の通り、基本的には混流生産となる

検査工程は熟練工が関与

 組み立てが終わると、内観/安全検査を経てコンフィグテスト込みの機能検査が行われる。先述の通り、これらの検査に合格するとPCは“完成”となる。

 検査には熟練工を関与させることで品質を高めているという。

検査中 内観/安全検査の様子。部品の接続がしっかり行われているか、目視で確認している
熟練工 品質を担保する目的で、検査は熟練工が担当する
カバー 内観のチェックが終わるとカバーを閉じてネジ締めを行う
耐圧 カバーを閉じた状態で耐圧/絶縁/リーク(漏えい)電流のチェックを実施する
外観チェック中 最後に、熟練工が目視で外観にキズや汚れがないことを確認する
カメラ 余談だが、作業者が組み立てる様子は約20台のカメラで録画されている。不具合が発生した場合に、問題解決のヒントになる可能性が高いからだ
テスト こちらは機能検査工程。完成したPCのセットアップとコンフィグテストも併せて実施される
検査中の様子 機能検査工程の所要時間はモデルにより異なり、短いもので30分程度、長いものだと1時間ほど掛かるという。テスト中はファンの音などに異常がないかどうか熟練工がチェックをしている

梱包工程も一部を自動化

 梱包工程でもDPSは活用されている。貼付するラベル類、封入する本体やマニュアル/付属品の間違いを防ぐためだ。出荷する前の最終工程ということもあり、指さし確認も行うことで念には念を入れているようだ。

梱包工程全景 梱包工程の様子
箱 本体などを入れる箱(パッケージ)は自動的に組み立てられる
DPS活用 正しいラベルが貼付されているか、DPSを使って確認する。PCの画面に表示されているものが、当該個体に貼り付けられるべきラベルだ
指さし確認 1つ1つ、指さしチェックを進めていく
梱包 正しいラベルが貼付されていることが確認できたら、本体を梱包していく
マニュアルも封入 梱包の済んだ本体を箱に入れる
マニュアル 本体を入れたら間仕切りも入れて、その上に付属品/マニュアルの入った袋やキーボードなどを入れる
出荷工程 封をした箱に貼付された製造銘板のバーコードを読み取る
出荷口へ 梱包工程を通過したPCは、台車に乗せられて出荷口に運ばれる

リファービッシュPCの「生産」も実施

 エプソンダイレクトの新たな取り組みの1つであるリファービッシュ(メーカー再生)PCの生産も、ちくま精機で行われている。

 リファービッシュPCは、「無料貸し出しプログラム」による貸出用機材、展示会などで短期間使用した製品、外観の小さなキズ/汚れを理由に返品されたPCなどをクリーニング、検査や必要な修理を行って再生したものだ。通常の新品PCと同等の品質とした上で販売される。

 新品PCと同等の品質ということで、各種保証はもちろん、保守サービスも通常通り適用/加入できるので、安心して使える。それでいて、通常の販売価格から約30%引きで購入できるなど、おトクさもメリットに挙げられる。

 この取り組みはエプソングループの環境活動の一環でもある。リファービッシュPCでは、従来なら廃棄対象だった部材の再利用も行うため、資源循環にポジティブな効果をもたらすからだ。

 リファービッシュPCの生産用在庫はちくま精機の工場内に保管されており、受注に合わせて生産を行う仕組みとなっている。デスクトップモデルはBTOも可能で、要望に合わせてCPU、メモリやストレージなどを組み込んだ後、新品PCと同じ検査を経て出荷される。

 なお、リファービッシュPCにはその旨を示すマーク(シール)が貼付される。

リファービッシュPC ちくま精機に保管されているリファービッシュPCの生産用在庫。デスクトップモデルの場合は、新品と同様にBTOにも対応する

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー