新発想のアームが付属! 標準消費電力わずか6Wの23.8型ディスプレイEIZO「FlexScan FLT」を試す(2/4 ページ)

» 2025年01月03日 09時00分 公開
[山口真弘ITmedia]
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取り付け簡単もアームの使い勝手にはクセあり

 本製品の設置にあたっては、最初に付属のアームをデスク天板に取り付け、次いでその先端に本体を装着する。そして、最後にアーム下部のケーブルガイドにケーブルを通して完了と、一般的なディスプレイアームを用いた場合と同じ手順で設置を行う。

 特筆すべきなのは、設置の簡単さだ。アームについては、支柱部を手で握って回すことにより、ドライバーなしで天板に固定できる。この支柱は直径が実測で60mmとかなり太いため、握って回しても手が痛くなることもなく、また反対方向に回して緩めるのも容易だ。下方向への出っ張りが少ないロープロファイルタイプなのもよい。

 さらにアーム先端へのディスプレイ本体の取り付けも、位置を合わせてはめ込むだけなので、重いディスプレイを支えながらネジ止めをしたり、先にアームにディスプレイを取り付けてからアームの固定位置を試行錯誤したりするといった面倒さとは無縁だ。ディスプレイ自体が約2.4kgと軽量なこともあり、1人で問題なく作業が完結するシンプルさはまさに秀逸と言える。

EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A アーム部分。受注生産となるフリーマウント仕様のパッケージには付属しない
EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A クランプ部は下からネジで締め上げる仕様ではなく、上の支柱部を回して締める
EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A 支柱部を時計回りに回転させることでクランプ部が締まる仕組みだ。工具不要で設置できるのは利点と言える
EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A 取り付けた状態。背面はすっきりとしており、壁に寄せての設置も可能だ
EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A 底面も最小限の出っ張りで済む。天板は10〜40mmまでの厚さに対応する
EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A 3つのツメの位置を合わせることで、ディスプレイへ取り付ける仕組みだ
EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A ディスプレイにはめ込む。専用規格なので汎用(はんよう)性はない
EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A 装着完了。一人で簡単に取り付けられる

 以上のように、取り付けやすさは文句なしなのだが、このアームは使い勝手が独特なので注意を要する。1つは縦横の回転に対応しないことだ。ディスプレイアームを使う理由の1つは、エディターや表計算ソフトなど、画面を縦長に使いたい時に素早く切り替えられることだが、本製品は横向き限定なので、こうした使い方には対応できない。

 またそれにもかかわらず、アームの先端部はいかにも回転できそうな遊びの部分があるのが紛らわしい。回転できないのは百歩譲って認めるとして、必ず画面を水平に保てるように、遊びの部分は作らないのがベターだろう。説明書には「無理に回転させないようご注意ください」とあるが、回転できないことが見た目に分かる形状の方が望ましい。

EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A アームの先端はいかにも回転できそうだが、実際には回転しない
EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A 本体背面側にも回転をサポートするギミックはない。同様に、あらかじめ縦向きに取り付ける機構もない

 もう1つは、一般的なアームだとディスプレイの付け根すぐに上下方向の角度調整用関節があり、その先に左右角度調整の関節があるのに対して、本製品はその順序が逆になっていることだ。なぜこれが問題かというと、前者だと画面が左右どこを向いていても画面の上下の向きを調節できるのに対し、後者では画面が必ず真正面を向いたままになってしまうことだ。以下の写真を見てほしい。

EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A 一般的なディスプレイアームの先端。付け根すぐに上下方向の角度を調節する関節があり、左右調節の関節はそれよりも根元寄りにある
EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A 本製品はこれらとは逆に付け根すぐに左右調節の関節があり、上下方向の角度を調節する関節はそれよりも根元寄りにある
EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A そのため、このように左右に大きく振った状態では、画面の上下方向の角度調整ができない。実質的に真正面を向いたままにならざるを得ない

 そのせいで、本製品は左右それぞれ90度の範囲でアームを大きくスイングできる利点があるにもかかわらず、それを有効活用できない仕様になっている。念のため同社の過去製品「LA-131-D」「LA-130-D」や、他社ディスプレイアームの売れ筋製品も確認してみたが、こうした仕様は本製品だけだ。

 なぜこのような設計を採用したのかは不明だが、いずれにせよ縦横の回転ができないことと併せて、一般的なディスプレイアームに慣れているユーザーは面食らう可能性が高いので要注意だ。アーム自体を伸縮できる機構など見るべきポイントもあるため、もったいない印象を受ける。

EIZO 最薄 アーム付属 23.8型 液晶ディスプレイ FlexScan FLT 欧州エネルギーラベル Class A こちらはアームの基部。アームの上下方向の調整および左右のスイングが行える

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