米国が本社の「TP-Link」 本当に中国「TP-LINK」と無関係になったのか? 日本法人に聞く(1/2 ページ)

» 2025年01月27日 17時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 ネットワークデバイスの開発/製造を手がける「TP-Link Systems(ティーピーリンクシステムズ:TP-Link)」。現在、同社は米カリフォルニア州に本社を構える米国企業だが、元々は中国の「TP-LINK Technologies(普総技術:TP-LINK)」からスピンオフした経緯がある。

 そのこともあってか、2024年12月には米国政府が「TP-Link製のネットワーク機器の利用禁止を検討している」という報道が流れた。それに対し同社は「当社は米国企業である」という旨の声明を発表している。

 TP-LinkとTP-LINKは、本当に“無関係”なのか――TP-Linkの日本法人であるティーピーリンクジャパンに聞いてみた。

おわびと訂正(1月29日18時30分)

 初出時、取材に当たって整理した資料に齟齬(そご)があり、以下の点を誤って伝えておりました。おわびすると共に、本文の修正をいたしました。

  • 2022年1月時点の製品の生産委託先(EMS事業者ではなく、Big Field Global【現TP-Link】のグループ企業であった)
  • ジェフリー・チャオ氏の中国語氏名(現在問い合わせています)

ティーピーリンクジャパン ティーピーリンクジャパンのWebサイト

TP-LINKとTP-Linkの関係(一部おさらい)

 TP-LINKは1996年に中国の深セン市で生まれた企業だ。「TP-LINK(TP-Link)」は元々同社が商標として保有していたもので、2003年に当時の商号(深セン市普総技術、※1)の英語表記(Shenzhen TP-LINK Technologies)に組み込まれることになった。現在の商号は、2005年に創業地名の「深セン(Shenzhen)」を外して確立したものだ。

(※1)正しくは、「セン」は「つちへんに川」

 TP-LINKは2005年からシンガポールや米国を皮切りに海外展開を開始し、日本では2015年10月に現地法人としてティーピーリンクジャパンを設立した。当時のティーピーリンクジャパンはTP-LINKの傘下にあり、大文字ロゴを使っていた(このロゴは、現在もTP-LINKが使い続けている)。

TP-LINK 中国TP-LINKは1996年に中国・深センで生まれた。同社のロゴマークは、以前は日本を含む海外でも使われていた
Archer C9 2016年6月、日本での初製品としてWi-Fi 5対応のホームルーター「Archer C9」をリリースした

 その後、2016年8月にTP-LINKは海外(中国以外)においてブランド名を小文字混じりの「TP-Link」に改めた上で、ロゴマークも一新した。製品の開発/製造スケジュールの都合で、しばらくは一部で旧ロゴをまとった新製品が出てくることになったが、2017年内には中国外の新製品は新ロゴ(とTP-Linkブランド)に統一された。

中国外 2016年8月、TP-LINKは中国外のブランド名を「TP-Link」とし、ロゴマークも改めることを発表した。思えば、これが企業分割の伏線だったのだろうか……?

 そして2022年、TP-LINKは海外(中国外)事業の“完全分離”(スピンオフ)を開始する。時系列で記すと以下の通りだ。

  • 2022年1月:TP-LINKが中国外事業を「Big Field Global(BFG)」に譲渡開始
    • 中国外に所在する子会社/研究開発/マーケティング/サポート体制が対象
    • 製品の生産はベトナムの自社グループ企業に依頼
  • 2023年1月:BFGが米カリフォルニア州に「TP-Link Global」を設立
    • 研究開発/技術マーケティング機能や研究開発拠点の運営権はTP-Link Globalに移管
    • これにより、シンガポール(BFG)と米国(TP-Link Global)の2本社体制に
  • 2023年9月:BFGがTP-LINKの中国外事業の買収(譲受)を完了
    • この時点で「TP-LINK」と「TP-Link」は資本的に無関係になる
  • 2023年12月:BFGが「TP-Link Corporation」に商号変更
    • 引き続き、シンガポールと米国の2本社体制を継続
  • 2024年5月:TP-Link Corporationが事業再編の完了を宣言
  • 2024年10月:TP-Link GlobalとTP-Link USA(米国での事業会社)が合併し、商号を「TP-Link Systems」に変更
    • TP-Link Corporationのオペレーション機能を統合し、完全な米国本拠企業
    • TP-Link Corporationはシンガポールにおける事業会社として存続
分離 2024年5月、TP-Link Corporationは企業再編の完了(≒TP-LINKからの完全分離)を完了したという(参考リンク
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