スペックだけではない、実機で感じるPFU「Scan Snap iX2500」の“本当の実力”(3/3 ページ)

» 2025年10月16日 12時00分 公開
[本田雅一ITmedia]
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インボイス対応でスキャン用途の増えた小規模事業者には最適

 シェアオフィスやコワーキングスペースなどでの利便性が大きく向上した本機だが、やはり最も効果的に使いこなせる場所は、小規模事業者や個人オフィスではないだろうか。筆者自身、インボイス制度への対応のために、スキャンする機会が大幅に増加し、しかもそのニーズが定着している。

PFU ScanSnap iX2500 iX1600 IX1500 ドキュメントスキャナー 最新 ai 高速 ScanSnapユーザーなら、ScanSnap Homeからスマホカメラを呼び出してその場で撮影した書類を、指定フォルダー/クラウドドライブなどに保存することも可能だ
PFU ScanSnap iX2500 iX1600 IX1500 ドキュメントスキャナー 最新 ai 高速 ScanSnapシリーズは多くの業務アプリケーションとの連携が得意だが、今後も一般向けクラウドストレージへの対応も拡充される

 領収書や請求書の保管が義務化されたこともあるが、会計/税務を委託している業者との連絡などに活躍してくれている。クラウド連動しているため、会計業務で連動する事務所と共有するネットストレージに、自動的に必要書類がたまるよう設定している。

 iX2500の性能向上も魅力だが、クラウドとの連動性の高さはそれ以上に製品の運用性を高める。

 ただし、アナウンスされている機能のうち、いくつかはまだ実装されておらず、またその中にはNASへの自動保存など”予定が未定”の要素もある。2025年内にはそろう予定であろうし、ScanSnap Homeの充実で廃止される見込みのアプリ機能統合も、具体的なメッセージがもっと欲しいところだ。

 ちなみに、7月にはiX2500とPCやその他のデバイスを接続している間のみタッチパネルにアイコン(プロファイル)を反映させる「プライバシーモード」が追加された。また、10月15日にはネットワークフォルダーへPCレスでの直接保存に対応したり、プロファイルの並び替えや、モバイル版ScanSnap Home利用時もタッチパネルからの設定変更に対応したり、Wi-Fiダイレクト接続モードをサポートしている。

PFU ScanSnap iX2500 iX1600 IX1500 ドキュメントスキャナー 最新 ai 高速 今後追加予定の機能。表にある「2025秋頃Upadate」の多くは対応済みだ

 そのような未知数の部分はあるものの、それでも筆者がこの製品を高く評価しているのは“これまでの実績と信頼”に他ならない。近年、特にiXシリーズになってからはネットワークサービスとアプリの拡充で、既存ユーザーも含めた機能、利便性の底上げに取り組む姿勢が強くなっていた。

 新たに装備された100枚トレイにより、週次の処理を一気に行い、スキャン後はクラウド会計ソフトと自動連携し、AI活用で精度が向上したOCRは、自動での仕分けも的確に行える。在宅ワークが多い職種なら、なおさらだろう。

 紙しか持っていない資料をスキャンしてTeamsに自動アップロードすれば、会議開始時にはメンバー全員が資料を確認できる状態にしておけるし、SharePointへの自動アップロードで自動化できるワークフローも多いはずだ。

 共用デバイスとしてオフィスで使う場合は、誤った保存先への送信リスクがなく、情報セキュリティの観点からも安心だ。新人でも5分の説明で使いこなせるだろう。

定番ブランドが作った新しい定番

 日本でドキュメントスキャナーを使う場合、パーソナル、あるいは小規模事業者や部署単位での導入を考えた際に、おそらくPFU以外の製品をわざわざ選ぶ必要はない。もちろん、大型の複合機などとは比較できないが、個人に近いレベルのスキャナーとしてはライバルがいない。

 いわば定番製品だが、その定番製品が起動の速さ、スキャンの速さ、転送の速さといった「待ち」を削ぎ落とし、新しい定番商品の基準になった印象だ。

 15年連続シェアNo.1(BCN スキャナー部門)のScanSnapだけに当然とも言えるが、定番ならではと言えるのは、やはり連携するPC/スマホそれぞれのアプリに他ならない。

 多くのユーザーが使う定番製品だからこそ、連携するソフトウェアや本体のファームウェアアップデートに投資でき、さらには各社クラウドサービスとのパートナーシップも広げることができる。

PFU ScanSnap iX2500 iX1600 IX1500 ドキュメントスキャナー 最新 ai 高速 豊富なラインアップを用意するPFUのドキュメントスキャナー。この他に業務用も多数ある

 iX1500ユーザーの筆者も、この恩恵を少なからず受けてきたが、2世代分の進化は確実に体感できた。しかしハードウェアはいつか故障してしまうもの。初めてScanSnapを手にする人には、紙との新しい付き合い方が新鮮に感じるだろうが、既存ユーザーは慣れ親しんだ使い勝手の中に、さらなる洗練を感じることができると思う。

※記事初出時、一部表記で誤りがありました。おわびして訂正します(2025年10月21日午後9時50分)。

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