とはいえ、使い込んでいるとハードウェアの順当な改善もさることながら、連携するソフトウェアやネットワークサービスの充実の方が大きな改良であるのに加え、長く使っていく上で今後のアップデートを期待させるものに仕上がっている、と感じるようになる。
最も大きな変化は、スキャン設定のプロファイルが、PFUがネット上で管理するユーザーアカウントに保存されるようになることだ。機器にひもづくわけではないため、どのiX2500でも”自分設定”のスキャナーになってくれる。
プロファイルには、どんな文書をどのような設定で、どこに保存するか。どんなアプリケーションやネットワークサービスと連携するか? などが保存されているので、使い込むほどに重要になってくる。
例えば、自宅で作成した「領収書→Dropbox/OCR」「写真→iCloud/600dpi」といったプロファイルを、オフィスのiX2500でもそのまま使える。会社のスキャナーが同じということは少ないかもしれないが、PFUは今後、レンタルのコワーキングスペースなど、さまざまな環境での共有スキャナーとして、この製品を売り込んでいくつもりのようだ。
圧倒的にナンバーワンのシェアを持つ同社のドキュメントスキャナーだけに、自分専用のスキャナーを持ち歩いているように使える環境が、そう遠くないうちに整っていくだろう。
これらと同時に、クラウドサービスとの連携も大幅に強化されている。
新たにMicrosoft Teams/SharePoint/OneNote/Notion/iCloudへの直接アップロードが可能になり、従来から対応していたDropbox/Google Drive/Evernote/OneDriveと合わせ、主要なクラウドサービスをほぼ網羅する形になった。
特にビジネスシーンでのTeamsとSharePointへの対応は大きな意味がある。
会議資料をスキャンして即座にTeamsのチャネルに投稿したり、契約書をSharePointの部門フォルダーに直接保存したりできる。PCを介さない直接連携により、ワークフローが大幅に簡素化可能だ。もちろん、そうした設定は自分だけのものとして持ち歩ける。
連携ソフトであるScanSnap Homeモバイル版の機能強化も抜かりはない。
検索可能なPDFの生成、つまりOCR機能がスマートフォン単体で可能になり、スマホで名刺をスキャンすると、すぐに検出した電話番号に発信といったことも行える。
昨今はモバイル中心にワークフローが構築されることも増えてきているが、そういったワークフローの中にスキャナーを効果的に組み込めるだろう。
今後のアップデートでは、複数デバイスでスキャンした書類をクラウド経由で同期する機能も追加される見込みだ。また10月15日からモバイル版ScanSnap HomeがChromebookで利用できるようになったので、教育現場での用途が広がる。
モバイル版ScanSnap Homeの登場で、スマートフォンを中心としたワークフローも可能になった。また端末側に設定を保存しておき、コワーキングスペースでのスキャナーをいつもの設定で利用するなども行えるモバイルアプリでの機能制限はほぼなく、今後のアップデート対応待ち(スマートフォンをかざしてスキャン)となるが、スキャンプロファイルの設定もここから選んでタッチするだけと実用性は大きく向上する。
また、モバイル版ScanSnap Cloudアプリは既に提供が終了しているが、内蔵カメラを用いた書類スキャン機能は「モバイル版ScanSnap Home」で利用可能だ。
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