なぜ「ぬい活」が流行?  爆売れ「ラブブ」と“自撮り代わり”の若者心理(3/3 ページ)

» 2025年12月02日 12時30分 公開
[鈴木朋子ITmedia]
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推しの「ぬい」ならいつでも推しと一緒

 さらに、推し活という意味でも、ぬい活は重要です。推しのぬいぐるみをバッグに下げれば、「私はこの人(キャラクター)のファンです」と表明しているも同じ。推しを支えることにもつながります。

 大切なぬいぐるみが汚れないように、ぬいぐるみが透明ポケットに入る「推し活用バッグ」や、ちょうどぬいぐるみを入れられる「推し活用ポーチ」も人気です。「3COINS」(スリーコインズ)や「WEGO」(ウィゴー)だけでなく、「タワーレコード」も推し活に使えるバッグを販売しています。

 ぬいぐるみをびっちり並べて入れていると、「痛バ」(痛いバッグ)と呼ばれることもありますが、推しへの熱い思いを表現できます。

 また、推しと一緒に旅行したい──そんな思いを抱く人のためにホテルチェーン「東横イン」は、ぬいぐるみにベッドやガウンを貸し出す宿泊プランを提供しています。推しもホテルのガウンに着替えて一緒に眠れるのです。

photo 「ぬい」のためにベッドやガウンが用意される宿泊プランも

 また、ぬいぐるみと一緒にいることは「いやし」にもつながります。どこへ出掛けても、ぬいぐるみがいつも一緒。観光スポットや喫茶店では、ぬいぐるみを入れて写真を撮ります。

 季節に合わせてぬいぐるみの服を着替えたいと思ったら、ぬいぐるみ専用の服を取り扱っている雑貨ショップもあります。また、手作りしたい人のために手芸用品専門チェーン「ユザワヤ」では、ぬいぐるみ用の手芸パーツや撮影用の「ぬい用ステージ」も用意しています。

自分の代わりにぬいで自撮り──分身としての役割も

 最近はSNSでのルッキズムが加速していることもあり、自撮りをSNSに上げたくない人も増えています。でも、ぬいぐるみを写せば、ただの風景の画像よりもずっと自分らしくなります。そこでの体験や思い出も、自然な形で投稿できます。ぬいぐるみが自分の分身の役割を果たすのです。

 ある20代女性は、友人とぬいぐるみを持って旅行に行き、ぬいぐるみの集合写真を撮っているそうです。自分たちの集合写真ももちろん撮りますが、SNSにはぬいぐるみだけの写真を投稿します。プライバシーも守れる上に、かわいい写真もたくさん撮影できて大満足の旅行だったそうです。

photo 友達の「ぬい」と旅行先で記念撮影。「写ルンです」を使用

 それぞれの目的がありつつも、ぬいぐるみと一緒に行動するぬい活は盛り上がる一方です。一部では、ぬい活の撮影マナーが悪いなどの声もあるようですが、ほとんどのぬい活をしている人はマナーの範囲内でぬい活を楽しんでいます。やってみたいけど勇気が出ない、という方は、こっそりぬいぐるみを忍ばせてお出かけすることから始めてみてはいかがでしょう。

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