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物作りのDNAで愉快に未来を作っていく――糸岡新体制が目指すVAIOの姿とは?(2/4 ページ)

» 2026年01月16日 18時30分 公開
[大河原克行ITmedia]

糸岡社長から見た「VAIOの課題」とは?

 一方で、糸岡社長はVAIOのスピード感には改善が必要であるとも指摘する。

 2014年にソニーから独立した際、VAIOは240人体制でスタートを切った。これはPCメーカーとしては小規模で、組織の壁がなく、スピード感を持って事業を推進できたという。しかし独立から10年以上を経過し、VAIOには自ずと変化が起きていたという。

 糸岡社長は「やりたいことを1人ひとりが考え、スピードを上げて実現していくことを徹底していく。(親会社である)ノジマの野島廣司社長は、経営で重視する要素として『スピード』『ユニーク』『クオリティー』を掲げている。VAIOはユニークさが特徴であり、独立して以降クオリティーファーストを心掛けてきた。だが、スピードについては、慎重になりすぎていた部分がある」と語る。

 このことを踏まえて同社長は「(VAIOは)『ユニーク』と『クオリティー』をきっちりと維持しながら、今まで以上のスピードアップすることで、より強くなれる。スピード、ユニーク、クオリティーでナンバーワンを目指す」と抱負を述べた。

 これまで、VAIOはファンド傘下の下で事業の再建を進めていた。なので、失敗することが許されない環境にあったのは事実だ。ゆえに慎重に事業を進めたり、リスクをとって新たなことに挑戦しにくかったりといった側面があったことは否めない。

 ノジマグループ傘下となったことで、こうした制約が解消されることが期待され、スピードを上げることにつながりそうだ。

「Windows 10のEOS特需」の反動にどう対処する?

 2025年10月のWindows 10のサポート終了(EOS)に伴う買い替え需要が一巡した結果、日本国内のPC市場は今後、出荷台数の落ち込みが見込まれる。2026年に限っていえば、教育分野における「GIGAスクール構想」の学習用端末のリプレースによる需要が残るが、VAIOはこの分野には参入していない。ゆえに同社は特需の“反動”を大きく受けやすい

 糸岡社長は、2021年下期と2022年上期(いずれも暦年ベース:以下同)を合算した国内法人向けノートPCの出荷台数を「100」とした場合、市場全体では2024年下期と2025年上期の実績が約1.5倍となる「155」であるのに対して、VAIOではその3倍となる「300」(200%増)となり、市場全体よりもはるかに高い成長を達成したことを強調した。

 その上で「VAIOは2014年以降、法人向けノートPC市場において市場全体の成長を上回り続けている。一度も、市場には負けていない」と胸を張る。現在、VAIOのPC事業の出荷台数の約9割が法人向けだ。

 そして糸岡社長は「厳しい市場環境に入っても、(VAIOは)市場全体を上回る成長を維持していくことを目指す。私たちの物作りに対する“思い”があれば、結果は付いてくる。VAIOは今まで以上に成長することができる」と、成長戦略に意気込みを見せた。

出荷実績 国内法人向けノートPCの出荷台数において、VAIOは全体を上回る

部材の「供給遅れ」や「値上がり」に懸念はない?

 PC市場全体では、部材の供給遅れや価格の高騰に伴い、本体価格の上昇が懸念されている

 このことについて糸岡社長は「部材不足はPC業界全体に影響を及ぼしている」としながらも、「ここ数年に渡る急成長の中で、VAIOはデバイスベンダーとの戦略的な協業により必要な数量を確実に供給してもらえるような関係を構築してきた。(状況に)先んじた話し合いを通じて、成長に必要な部材は確保している」とする。

 「VAIO(本体)の価格を一斉に上げるということは考えていない。部品メーカーとの戦略的な協業をベースに、(価格を)維持することを考えたい」とも語った。

 糸岡社長は、VAIOが法人向けPCを“事業の主軸”とする考えには変更はないとも語った。一方で、ノジマの販売ルートを活用して個人向けPCの存在感を高めることができると判断し、個人向けノートPCの成長にも取り組んでいく考えも示した。

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