もう一人のキーパーソンである林薫常務が、VAIO Design philosophyと開発におけるこだわりを説明した。
林常務は1992年にソニーに入社した。糸岡社長とは同期に当たり、1996年に初期メンバーとしてITカンパニーに配属されたのも同様だ。最初に設計に携わったPCは1998年に発売された「VAIO C1」で、それ以来一貫してVAIOの開発に携わってきた。
林氏は冒頭、立ち上がった当時の「VAIO」ブランドについて説明した。
VAIOは「Video Audio Integrated Operation」の頭文字を取ったものだ。(ブランド立ち上げ)当時のPCは事務用途が中心だったが、その中でソニーがビデオ/オーディオと、コンピューティングを融合した製品として投入したのがVAIOだった。またVAIOのロゴマーク前半の「VA」はアナログの波形を表し、後半の「IO」はデジタル(信号)の「1」と「0」を表している。アナログとデジタルの融合を狙ったPCだということを示していた。
その上で林常務は「(VAIOが)2014年にソニーから独立し、PC専業の会社として再スタートした際に、PCが持つ大画面と操作性を生かして、“アウトプット”する作業を支援することが、今後のVAIOの役割になると判断した。それを最も生かせるのが、ビジネス領域であり、ビジネスにおける生産性を向上させる物作りに特化してきた」と振り返る。
ソニー時代から“焦点”が変わったVAIOだが、それでも“VAIOならではの視点”はしっかりと盛り込んだ。それが「2人のお客さま」である。
「2人」の意味するところだが、1人は情報システム部門などの購入決定者、もう1人が従業員を始めとするエンドユーザーだ。多くのPCメーカーは、情報システム部門の要求に基づいて物作りを進めていた。それに対して、VAIOは情報システム部門と共に、従業員を同時に満足させる物作りを重視してきた。このことが、独立後のVAIOにおける独自の価値となると考えたのだ。
林常務は「現在に至るVAIOの歴史を振り返ると、このとき『2人のお客さま』にフォーカスするという意思決定は極めて重要なものだった」と断言する。その成果が発揮され始めたのが、コロナ禍によって企業におけるPCの位置付けが変化してきたタイミングだったという。林常務はこう話す。
コロナ禍では、リモートワークが広がり、会社と従業員をつなぐ接点がPCになった。従業員のモチベーションを高めるために、どんなPCを選択するかが重要になり、IT投資の仕方にも変化が生まれた。従業員に「ちょっとイイPC」を提供する企業が増え、そこにVAIOという選択肢がピタリとはまった。
VAIOとして「ちょっとイイPC」を実現した秘密は、商品理念に掲げている「カッコイイ(inspiring)」「カシコイ(Ingenious)」「ホンモノ(Genuine)」を追求してきたことにある。
「カッコイイ」という観点では、「見た目だけでなく、ワクワクするような格好良さを求めた」という。その上で、林氏は「『業務用PCに格好良さはいらない』という声もあるが、従業員が会社に来て、最初に行う作業はPCを開くこと。そのときに、少しでもワクワクして『今日も頑張ろう』という活力を与えられるような存在になりたい。だからこそ、姿や形、色にこだわっている」と語る。
2014年以降、VAIOは法人向けモデルでもカラーバリエーションにもこだわり、モデルによっては「ブラック」「グレー」「シルバー」といった定番以外のカラーもラインアップに用意している。企業の中には、VAIOが用意している全てのカラーを従業員が選択できるようにして、それによって従業員の“満足感”や“所有感”を高めることにつなげている事例もあるとのことだ。
VAIOとしてカッコイイを体現する上でこだわっているのが「機能美」だという。林常務は「見た目の美しさと使い勝手を両立していること、もしくは機能を突き詰めたことで格好良くなることが、VAIOが目指す格好良さだ。中身を深く考えた結果、外観の格好良さが生まれている」と説明する。
例えばVAIOが採用している「ヒンジレスデザイン」は、使用する際にヒンジの構造が見えないのが特徴だ。これは画面に集中しやすい環境を実現する上でメリットとなる。
「チルトアップデザイン」は、PCを開くと下部を起点に後部が持ち上がり、キーボード入力に適した角度での傾きを生む。そして「無限パームレスト」は、ボトム部分が先端に向かって薄くなっており、パームレストと机の段差が限りなく少なくなることで、パームレストが机が無限に広がるようにつながる印象を与えるだけでなく、手首へのストレスを軽減するメリットがある。
林常務は「特にチルトアップデザインは、遠くからでもVAIOであることが認識ができる特徴だ。最近は、TVドラマでもVAIOが使われるケースが増えており、横から見るだけでも、独特のシルエットにより一目でVAIOだと分かる。また、無限パームレストに慣れたユーザーが他社のPCを使うと『キーボードが打ちにくく感じる』という声もよく聞く。これらは、格好良さと機能性が両立したデザインの一例である」と自信を見せる。
デザイン回りのエピソードの1つとして披露されたのが、ボディーの“後ろ側”のデザインへのこだわりだ。
林常務は「格好いいスポーツカーは、後ろ姿も格好いい。スポーツカーみたいに格好いい後ろ姿を持ったPCを作りたいというデザイナーの思いが詰まっている。後姿が四角い箱になっている他社のPCとは大きく異なる」と語る。
ここでも単に「カッコイイ」を目指しただけでなく、机の上に置かれていたノートPCを持ち上げる際につかみやすい形状を実現したという。「私たちが作っているのは、モバイルノートPCだ。持ち歩いてもらうためのPCであり、そのためには持ち上げやすさも重要である」というこだわりが、デザインに反映された格好だ。
ちなみに、VAIOのノートPCといえば、背面部分の「オーナメント」も特徴だが、これもデザイン性を高めるだけでなく、液晶パネルの設置面を保護する金属の補強板として、機能面でも有用だという。
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