ViXion01Sまでは、文庫本を目から30cm程度の距離で読もうとすると、視野にはぎりぎり1ページが収まる程度だった。双眼鏡をのぞきながら本を読むような独特のもどかしさで、読み進めるごとに頭を動かしてページを追う必要があった。スマートフォンならいけるけどタブレットだときつい、といった感覚だろうか。
ViXion2では、文庫本は見開きがほぼ丸ごと視野に入るようになった。目だけで文字を追う、裸眼や眼鏡での感覚そのままで読書ができる。もちろん、手元からディスプレイへ視線を移せば即座にピントが合う高速オートフォーカスも健在だ。
筆者の環境だと、ノートPCの13型ディスプレイは完全に視野内で、27型ディスプレイを約90cmの距離から見た場合で画面隅が切れるくらいだ。この視野拡大の効果は、もはや別モノと言える。
また、左右のレンズが大きくなったことで瞳孔間距離の設定にマージンが生まれたような感触がある。推奨設定というわけではないだろうが、自身の瞳孔間距離よりやや離し気味にしても快適に見ることができる。このようなセッティングであれば、視野はさらに広がる。
そして個人的に見逃せない変更点が、フィッティングの改善だ。オートフォーカスアイウェアと眼鏡は似た形状ではあるが、重心の違いや位置ズレの許容量の違いなどから、顔にフィットさせるための支持構造は見た目以上に異なっているように感じる。そこで重要となってくるのが、鼻当てとツル(テンプル)だ。
ViXion01は内部に変形可能な芯を持つ鼻当てを採用していたが、ViXion01Sでは金属アームの先に小さな楕円形パッドを付けた、一般的な眼鏡に近い鼻当て構造に変わった。しかし、筆者の場合は、どうにもしっくりくるポジションを見つけられなかった。
ViXion2の鼻当ては再びViXion01のような形状に戻り、より広い部分で鼻にフィットするようになった。しかもViXion01と比べて柔らかくなっており、調整がしやすい。おかげでしっかりとホールドできるポジションをすぐに見つけることができた。
また、ツルにも変化が見られる。ViXion01Sではツルの途中にスジが入っており、そこから先を自由に曲げることができる。この構造自体はViXion2でも変わらないが、固定部分と可変部分を分けるスジの部分に大きな違いがある。
ViXion01Sは内部の芯が繋がっているような感触であるのに対し、ViXion2ではスジの部分で内部素材が途切れているような感触がある。そのため、耳にかける部分を大きく変形させることが可能になっている。
レンズが大きくなったとはいえ、数mmのズレでも許容できないViXionシリーズではセッティングは非常にシビアだ。これらはスペック表には現れない大きな進化と言えるだろう。
ViXion2の機構とシステムは、ViXion01Sを踏襲している。専用アプリ「ViXion Connect」はViXion01Sと共通で、プリセット3件の保存や呼び出し、リアルタイムでの温度/電池残量/焦点距離のモニタリング/度数変化の記録統計といった機能をそのまま利用可能だ。Tilt-to-TuneやEdgeFocusなどの拡張機能も共通である。
ViXionシリーズの使い方は、ずっと「必要なときだけかける」だった。手元の資料とディスプレイを交互に見るような作業や、電子工作といった細かい手元作業のときだけ取り出す道具、という位置付けだ。
ViXion2では新たな使い方、つまり「かけっぱなし」という可能性を感じた。「アイウェアとして自然にかけていられるかどうか」は、視野の広さに直結していたのだと、改めて実感した次第だ。
もっとも、「目の前に太い輪があって、中央と周辺を区分する」感覚が完全に消えたわけではなく、一般的な眼鏡の開放感とは異なる。運転中の使用が禁止されているのも変わらない。
ViXion2が「眼鏡の代替」ではなく「ピント調節をサポートするアイウェア」であることは、依然として変わらないのだ。それでも、「眼鏡であってルーペではない」というユーザーの声に、ViXion2は確かに一歩、大きく近づいたことは間違いない。
アウターレンズのカスタマイズもViXion01S同様、乱視補正/近用/遠用の度入りレンズへの交換がビックカメラ全21店舗やJUN銀座で受け付けられる。オートフォーカスレンズが担うのは中心部の焦点調整であり、アウターレンズには周辺視野の補正という役割が与えられる設計だ。「変わらない周辺と、変わった中核」という構造は、ViXion2においても同じだ。
これらの変わった点、変わらなかった点は、ViXionシリーズ3世代の役割を象徴しているとも言える。世界初のオートフォーカスアイウェアとして大きなインパクトをもたらしたViXion01は、近未来的なデザインでその先進性を示した。
そして、ViXion01Sではスペック面では大きな変化はなかったものの、アウターレンズ対応によって眼鏡らしい外見となり、日常生活に溶け込むスタンダードなポジションを実現した。そしてViXion2では現行技術の到達点である9mmレンズを搭載し、ViXion01Sを踏襲しながら視野拡大に全振りしたモデルとなった。
モデルの命名方法も興味深い。マイナーチェンジであることを示すようなポストフィックスだけの違いでありながら、大きなデザイン変更があったViXion01S、そして、ゼロが消えたViXion2。たかが0でありながら、そこの違いは大きいように思う。
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