2023年末より、オートフォーカスアイウェア「ViXion01」(ヴィクシオンゼロワン)の発送が始まっている。聞き慣れない製品ジャンルだが、今までの眼鏡の常識を覆す新たな視力サポートツールとして、発売前より大きな注目を集めていた製品だ。筆者も2023年8月に支援し、ぎりぎり2023年中に入手することができたので、その使用感などをレポートする。
デジタル全盛の現在、情報の多くは視覚によって知覚されている。情報は高密度化し、高解像度/高FPSの一途をたどっているが、その一方で程度の差こそあれ、視覚になんらかの問題を抱えている人も多い。
特に顕著な例が老眼だ。老眼が進行すると近くのものにピントが合わなくなり、いつの間にかスマートフォンも腕を伸ばして操作するようになる。物をよく見ようとするときに目を近づけるという自然な行為が、ある年齢から逆転してしまうわけだ。
やっかいなことに、遠くの物は当然小さく見えるため、実際には近くも遠くも見えづらいということになる。老眼鏡をかければ近くを見るときにピントが合うようになるが、逆に遠くは裸眼以上にぼやけてしまう。多焦点レンズを使用した遠近両用眼鏡もあるものの、ピントを合わせるためには視線を上下させることで調整しなくてはならない。
そんな日常生活の不便さを解消してくれるガジェットが、オートフォーカスアイウェアのViXion01だ。ViXion01はクラウドファンディングサイト「kibidango」と「GREEN FUNDING」で2022年6月29日に支援受付を開始し、わずか16分で目標金額の500万円を達成している。その後も支援は増え続け、最終的には4億2500万超、実に達成率8503%という驚異的な支援金額となった。
現在は9万9900円(税/送料込み、以下同様)で購入可能となっている(ただし発送は2024年2月以降順次となる)ViXion01だが、クラウドファンディング中の価格も6万7800〜7万800円と、決して安くはなかった。それだけに、多くの人が大きな期待を寄せていた製品であったことが伺える。
果たして、ViXion01は期待に応えてくれる製品に仕上がっているのだろうか。
ViXion01は、X-MENのサイクロップスや新スタートレックのジョーディ・ラ=フォージを思わせる未来的なデザインだ。良くも悪くも目立ってしまうため、人前で利用することをためらう人も多いだろう。
だが、このデザインには常用するものではない、ということを示す意図的なものも含まれているようだ。また、一般医療機器としての認定は受けていないため眼鏡として利用する、つまり運転時の視力補正に使用することはできない。
製品写真などでは、左右のレンズ部がまるで瞳のように見えるが、実際にかけてみるとそこまで目立つ印象ではない。重量は公称値で約55g(実測は54g)と、一般的な眼鏡の35g程度に比べると重たいが、VRヘッドセットのように荷重がかかっている感覚もなく、特段重いと感じることはなかった。これは(常用は想定されていないとはいえ)日常生活の中で利用するには重要なポイントだと言えるだろう。
また、パッと見では分かりづらいが、装着時右側にパーツなどが集約されているような左右非対称デザインになっている。これは、左右対称がスタンダードな従来の眼鏡と一線を画すプロダクトであることをデザインで表現するためだという。
重心も右よりだが、気になるような不自然さはなかった。太めの右側のツルを開くと電源が入り、閉じると電源が切れる。USB Type-C端子からの充電時間は3時間で8〜10時間の使用が可能だが、ツルを開いたまま眼鏡を置く癖がある人は少し気をつけた方がいいかもしれない。
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