Apple Vision Proは日本でも買えた! そのプロセスで感じられた語り尽くせない驚きの理由:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)

» 2024年01月24日 18時30分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 米国太平洋時間の1月19日午前5時(日本時間の同日午後10時)から、米国において「Apple Vision Pro」の受注が始まった。米国限定販売であるにも関わらず、Appleが「空間コンピュータ」という新ジャンルだと説明する新しいコンピュータに対して世界中から多数の注文が集まった。

プリオーダー 米国AppleのWebサイトのトップページの最上部を飾るのは、Apple Vision Pro。ここにも記載されている通り、発売(出荷)は2月2日から始まる

 値付けは3499ドル(約51万8000円)からと、同等の能力を持つプロセッサ(SoC)を搭載するMacBookシリーズと比べると3倍以上の値付けがされている。当然、この価格は従来のVRゴーグルと比べても高価なのだが、全くの新製品なのだから当然という見方もあるだろう。とはいえ、単純な「パーソナルコンピュータ」としての処理能力に着目するならば、ここまで話題を呼ぶことはないはずだ。

 では、なぜ人々はジャンルとしてまだ確立されていない「空間コンピュータ」に大きな投資をするのか。それは、世界で最も大規模なエレクトロニクス製品メーカーの1社であるAppleが、スマートフォンの次に来る“新しい時代”を空間コンピュータが作ると確信していることが伝わってくるからだ。

 筆者も、その“覚悟”を受け取った1人である。Appleが提案する次世代への入り口に立つために、Apple Vision Proの予約注文に踏み切った。発売日当日に米国を訪れてレビューにも取り組む予定だが、その注文プロセスだけでも、他社には真似のできない大規模投資が行われたことが伝わってきた。この記事では、そのプロセスの詳細を紹介する。

 というのも、Apple Vision Proを知れば知るほど、この価格設定でよく実現できたものだと驚かされているからだ。

【更新:1月25日8時25分】一部表記を改めた上で、画像を差し替えました

注文ページ Apple Vision Proの注文ページ。ここからして他社には真似のできない大規模投資をしたのだなと察することができる

28種類の「Light Seal」を使い分けて没入感を高める

 やや過激にApple Vision Proを表現するなら、ユーザーの視覚と聴覚を乗っ取った上で、コンピュータが生成する映像を見せることでインタラクションする端末だ。SFの世界ならば、視神経にコンピュータを直接接続する――そんな感覚だろうか。

 しかし、一番手っ取り早いのは、目の回りをしっかりと覆って外を見えなくした上で、両目に電子的に作り出した光を見せることだ。既存のVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)も、この発想に基づいて作られている。

 Apple Vision Proでは、このことをより徹底していて、見え方が現実空間とそっくりになるよう配慮している。例えば、目の前にあるコーヒーカップはそのままの位置に感じられ、形状や視野にある空間そのものが“いつもと同じ”になるよう配慮されている。瞳孔間の距離(PD)だけではなく、ディスプレイと目の間の距離も厳密に最適化しているのだろう。

 そんなこともあり、Apple Vision Pro を購入する際には、普段はFace ID(顔認証)に用いる「TrueDepthカメラ」を使って顔の形状とサイズを計測しなければならない(思い起こせば、2023年6月に試作機を試した際にも事前に計測していた)。これは本体と顔の間に挟み込む、光を遮蔽(しゃへい)するため「Light Seal(遮光シール)」のサイズを決めるために行われるもので、以下の通り実に28種類のサイズが存在する。

11W、12N、12W、13N、13W、14N、14W、21N、21W、22N、22W、23N、23W、24N、24W、25N、25W、26N、26W、33N、33W、34N、34W、35N、35W、36N、36W


 数字は連続しておらず、その意味に関して謎が多いが、恐らくNは「Narrow(狭幅)」、Wは「Wide(広幅)」だと想像が付く。数字は何だろうかと考えてみると、頭蓋骨の大きさや形状に合わせて設定されていることは間違いなく、先述の通り目とディスプレイ(接眼レンズ)との距離を表している可能性が高い。

 つまり、Light Sealを使ってパススルー映像と現実の風景を一致させるように調整しているものと思われる。

 なお、仕組みの都合からApple Vision Proの注文時にはFace ID対応のiPhoneまたはiPad Proが必要となる。万が一、Light Sealのサイズがうまく合わなかった場合は、購入日(通販購入の場合は到着日)から14日以内であれば別サイズに交換できるという。付属するLight Sealが正しくフィットしているかを確認するためのソフトウェアツールも用意されているとのことだ。

スキャン Apple Vision Proの注文時には、Face ID対応のiPhoneまたはiPad Proを用意して、利用者の顔をスキャンする必要がある。この結果に基づいて、付属するLight Sealのサイズが決まる

 没入感を高めるためのプロセスは、Light Sealのサイズ選定にとどまらない。

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