ここまでは、「インテリジェンスをどのようにOSに組み込むか?」という話だった。しかし、統合が深くなれば、それと引き換えに生まれる“境界線”も濃くなる。Windows PCにおける「Copilot+ PC」がそうであったように、固有のAI機能を活用できるデバイスと、活用できないデバイスは分かれていく。
先述の通り、iOS 27自体はiPhone 11以降であればアップデートできる。しかし、Apple IntelligenceとSiri AIを利用できるiPhoneは、iPhone 15 Pro/iPhone 15 Pro MaxとiPhone 16以降に限られる。他のOS(プラットフォーム)でApple Intelligence/Siri AIを使う場合は、OSをアップデートした上で、以下の要件を満たす必要がある。
今回の発表によって、Appleデバイスにおいて「OSアップデートが継続的に提供される時間軸」と、「AI体験の時間軸」は明確に分かれ始めた。古いiPhoneでも、日常の道具としては応答性を高め、現役であり続けられるよう配慮される。しかし、最新のAI体験を享受するには、別の“境界”が置かれる。
1つのエコシステムで、2つの時間が動き始めた。
日本のユーザーにとってもう1つ、慎重に見ておきたいのが日本語への対応である。
新しいApple Intelligenceは、日本語に対応する。しかし、新しいSiri AIは2026年内に対応デバイスの表示言語を「英語」に設定しているユーザー向けにβ版として提供される。Appleは対応言語を迅速に拡大すると説明しているが、日本語版Siri AIの具体的な提供時期は明示されていない。
Appleは米国企業だ。ゆえに英語版から提供すること自体は不自然ではない。しかし、新しいApple Intelligenceの提供時期がここまでずれ込んだこと、そしてApple Intelligenceが初物ではなく“第2世代”であることを考えれば、日本語ユーザーが“待たされる”時間はいささか長い。
また、対応言語の一覧に日本語が含まれているからといって、Siri AIにおいて日本語を自然に扱えるかは未知数だ。
漢字の読み(音読み/訓読み)、固有名詞、助詞や助動詞、敬語(尊敬語/謙譲語/丁寧語)、文脈による語句の省略、英単語との混在――日本語には他言語にはない要素が多い。特に音声合成やディクテーションは、それぞれの領域を専門とする製品でも、十分とは言い難いのが実情である。他社の製品やサービスでも、日本語の生成精度に疑問を感じる場面は少なからずある。
例えばAnthropicの「Claude」でも、会話モードでは音声合成で日本語と中国語の読みが混じり合うことや、イントネーションが「日本語風」「中国語風」「英語風」に揺れることが結構ある。固有名詞の発音となると、さらに難しい。
「より優れたApple Intelligence」「日本語にも対応」というチェックボックスが埋まっているかどうかだけでは、本当に日本語を問題なく扱えるのかは評価できない。
答えが出るのは早くて2026年末、あるいは2027年に入ってからになるだろう。
新しいApple Intelligence自体は、既存のApple Intelligenceがサポートする言語で利用できる。ただし、Siri AIについては2026年後半に英語のみβ提供を開始する予定で、他言語についてはなるべく早く実装する方針が示されている
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