AI PC倍増、AIサーバ国内販売、そしてマスク生産は継続 シャープ新体制が挑むPC市場逆風下での勝算(1/3 ページ)

» 2026年07月01日 12時00分 公開
[大河原克行,ITmedia]

 シャープは、6月に2026年度の事業戦略を発表した。その中で、Dynabookでは2025年度実績で約20%だったAI PCの比率を、2026年度には40%に引き上げる計画を明らかにした。

 また、同社は親会社である鴻海精密工業が開発するAIサーバを、2026年度から国内で販売する計画を公表した。さらに、コロナ禍で急きょ生産を開始していたシャープ製マスクについては、今後も継続的に生産する考えを示した。

シャープ 社長執行役員 CEOの河村哲治氏

2026年度のPC市場は30%超の縮小予測 Win10特需の反動にどう備える?

 シャープは、2025年度に収益力や財務体質が大幅に改善している。2026年4月に同社の社長 CEOに就任した河村哲治氏は、「2025年度は再成長の土台作りが着実に進展した1年であった」と総括した。

 「2026年度は、成熟事業中心の事業構造を成長型に転換する。既存事業であるスマートライフ、スマートワークプレイス、ディスプレイデバイスは、顧客接点の強化とAIを核とした事業変革を推進し、着実な事業成長と収益性向上を実現する。一方で、新規事業は成長領域とし、AIインフラ、次世代通信、ロボティクス/インダストリーDX、モビリティに取り組む」との方針を示した。

 既存事業においては、2025年度のブランド事業成長のけん引役となったDynabookの売上高が大幅に減少すると想定している。

 Dynabookは、2025年度にWindows 10のサポート終了に伴う買い替え需要が集中する中で、国内法人向けノートPC市場においてトップシェアを獲得した。

 だが、2026年度は厳しい市場環境を想定している。2025年度の特需の反動減、メモリやSSDといった部材の価格高騰による売価上昇の影響があるため、法人向けPC市場全体では前年比30%以上も縮小すると予測。スマートワークプレイス事業全体では、減収減益の見通しとしている。

2025年度から2026年度にかけての通期業績予測

 シャープ 執行役員 Co-COO兼スマートワークプレイスビジネスグループ長の小林繁氏は、「特需の反動、価格の状況だけでなく、円安の定着もマイナスに影響する。そのため、高付加価値製品へのシフトやLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスの強化によって、収益維持を図る」と述べた。

シャープ 執行役員 Co-COO兼スマートワークプレイスビジネスグループ長の小林繁氏

 2025年度には20%だったAI PCの比率を、2026年度には約40%に倍増させる計画も打ち出し、国内法人向けノートPC市場におけるトップシェア維持にも意欲をみせた。

 また、LCMサービスは企業を対象に、調達から初期設定、運用、保守、廃棄、データ消去までを代行するとともに、資産を一元管理するアウトソーシングサービスであり、同社は大手顧客への一括提案を加速する考えだ。

 小林執行役員は、「これまでPC向けに展開してきたLCMサービスの対象を、今後は法人向けスマホにも拡充する。PCとスマホの両方を提供できるのはシャープのユニークな強みである。大手顧客へのクロスセルやセット提案を強化したい」と語った。

 LCMサービスの拡大に向け、2025年2月には、Dynabook西日本LCMセンターを大阪に開設しており、千葉市のDynabook PC総合サポートセンターと共に、全国をサポートする体制を強化している。

円安や半導体部品の高騰を受け高付加価値製品へのシフトを図る
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