Snapdragon X2 Elite搭載「Surface Laptop 13.8インチ」「Surface Pro 13インチ」は快適に使えるのか? パフォーマンスと互換性をチェックして分かったこと(3/3 ページ)

» 2026年08月18日 17時00分 公開
[すまさ,ITmedia]
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高負荷時の表面温度と熱設計は?

 Surfaceシリーズでは、Cinebench 2026実行中のサーモグラフィーカメラ「FLIR」を使って本体表面温度も計測した。

 両機種共に、マルチスレッドテストを連続実行しても表面温度が50度を超えることはなかった。挙動を見ている限り、この温度をターゲットとしてSoCのクロック調整を行っていると思われる。

Surface Laptop 13.8インチ(第8世代)

 Surface Laptop 13.8インチ(第8世代)では、キーボード面の最高温度は45.7度だった。

 キーボード奥側で温かさを感じる場面があるものの、手首を置くパームレストやタッチパッド周辺は低温が保たれており、キー入力時の快適性に配慮された放熱設計となっている

表面 Surface Laptop 13.8インチ(第8世代)のサーモグラフィー映像。パームレストはそれほど高温にならない一方で、キーボードの中ほど〜上部はそれなりに温度が上がる。ただし、50度を超えることはない

Surface Pro 13インチ(第12世代)

 Surface Pro 13インチ(第12世代)は、ディスプレイ面は最高46.4度、本体背面上部は最高48.4度となった。

 基板類が集中する本体背面には熱が集まりやすいが、セパレート構造のキーボードには熱が伝わらないことは大きなメリットといえる。

ディスプレイ Surface Pro 13インチ(第12世代)では、ディスプレイ面の温度が最大46.4度となった。比較的まんべんなく熱が広がっている印象だ
背面 本体背面の上部は最大48.4度となった。一番熱くなるであろう箇所だが、やはり50度を超えることはない

「Arm版Windows 11」の互換性はどうか?

 Snapdragon X2 Eliteは、Snapdragonシリーズの省電力性を保ちつつ、処理能力を確実に向上している。しかし、購入を検討する上でやはり気になるのがアプリや周辺機器の互換性だ。

 Snapdragon X2 EliteのCPUコア(Qualcomm Oryon)はArmアーキテクチャベースで、従来のIntel(x86/x64)アーキテクチャのアプリやデバイスドライバは“そのまま”動かすことができない。アプリについてはWindows 11に内包されたエミュレーターを介してある程度動作するが、デバイスドライバはエミュレーションによる対応ができない。

 気になる人もいると思うので、ゲームを中心とするアプリや周辺機器の動作を検証してみた。結論からいうと、カーネルレベルの「アンチチート」を使うゲームタイトルや、専用デバイスドライバが必要な周辺機器では注意が必要となる。

ゲームの互換性を左右する「アンチチートシステム」

 Arm版Windows 11のx86/x64アプリ用エミュレーターは意外と優秀で、ゲームアプリも思った以上にサクサク動く。しかし、ゲームに「アンチチート(不正防止)ツール」が組み込まれている場合、ツールがArm64に対応していないとそもそも動作しない。

 例えば「アークナイツ:エンドフィールド」のWindows版を起動しようとすると、Tencent Cloudのアンチチートツール「Anti-Cheat Expert」が「x86アーキテクチャのデバイスに交換してください」というメッセージを出して、タイトルに到達することすらできない。

 Anti-Cheat Expertはカーネルレベルで機能する仮想デバイスドライバとして動作するため、ドライバ自体がArmアーキテクチャに対応しないと動作できない。

 言い方を変えると、アンチチートツールがArmアーキテクチャに対応していれば、ゲームプログラム自体がx86/x64アーキテクチャでもおおむね動作するということだ。実際、WELLBIA.comのアンチチートツール「XIGNCODE3」を使っている「ブルーアーカイブ」のWindows版は、XIGNCODE3がArmアーキテクチャに対応しているので普通に起動する。

アークナイツ:エンドフィールド アークナイツ:エンドフィールドをSnapdragon X2 Elite搭載のSurfaceシリーズで起動しようとすると、Anti-Cheat Expertがエラーを出して起動すらさせてくれない
ブルーアーカイブ 一方で、ブルーアーカイブはArmアーキテクチャ対応版のXIGNCODE3を利用しているので、普通に起動プロセスが進行してゲームも問題なく遊べる

専用ドライバが必要な古めの「プリンタ」は要注意

 筆者は年賀状こそ長年印刷していないが、旅行で使用する旅程表や査証(ビザ)などの書類を印刷するためにキヤノンのモノクロレーザープリンタ「Satera LBP6040」を愛用している。

 近年、キヤノンを含む大手プリンタメーカーは、ドライバレスでCPUアーキテクチャに依存しない「Windows Ready Print(WRP)」という仕組みへの対応を進めている。WRPに対応するプリンタ(Mopria認証プリンタ)なら、Arm版Windows 11で問題なく稼働する。

 一方で、筆者が使っているSatera LBP6040は10年以上前の機種ということもありWRPに非対応だ。キヤノンはArm版Windows 11向けのプリンタドライバを開発していないため、今回のレビュー機ではSatera LBP6040は利用できないことになる。

 USBマスストレージ(USBメモリやUSB HDD/SSD、光学ドライブ)やUSB HID(USBキーボード/マウス/ゲームコントローラー)、USB Audio(USB DAC、USBイヤフォン/ヘッドフォン)など、汎用(はんよう)ドライバで稼働する周辺機器はさておいて、専用ドライバが必要な機器についてはArmアーキテクチャへの対応はよくチェックすべきだろう。

 これからプリンタを導入する場合は、Mopria認証を取得してるかどうかを確認するようにしたい。

プリンタドライバ Arm版Windows 11ではSatera LBP6040を認識することはできるものの、「ドライバーは使用できません」というメッセージが出て利用できない

Armアーキテクチャへの対応情報はどうやって調べる?

 アプリやゲームのArmアーキテクチャへの対応状況は、Lianoが主導する形で運営するデータベースサイト「Works on WoA」で調べることができる。

 このサイトでは、アプリやゲームがArmネイティブなのか(Arm32/Arm64で構築されているか)、それともWindows 11によるエミュレーションで動作しているのか、はたまたエミュレーションでも動作しないのかを調べることができる。情報はMicrosoftやQualcommが提供しているものに加えて、有志からの提供もある。

 日本で使われているローカルアプリの登録は少なめだが、グローバルアプリはおおむね網羅されているので参考にはしやすい。

Surface Pro 13

 Snapdragon X2 Eliteを搭載する個人向けのSurface Laptop 13.8インチ(第8世代)とSurface Pro 13インチ(第12世代)について、2回に分けてレビューしてきた。どちらのモデルを選ぶべきか、判断の基準を整理して本検証を締めくくりたい。

Surface Laptop 13.8インチがお勧めのユーザー

【場所を選ばず安定してタイピングしたい人】

 本製品にはクラムシェル構造ならではの安定感があり、膝上作業や狭いデスク環境でもストレスなくキーボード入力に集中できる。

【1分でも長くACアダプターなしで運用したい人】

 消費電力面で有利な液晶パネルと、効率的な放熱設計の組み合わせにより、今回のレビューでは動画再生テストで22時間42分という長時間のバッテリー駆動を達成した。出張や長時間の外出が多いモバイルワーカーにとって心強い味方となる。

【シンプルかつ洗練されたノートPCを求める人】

 余計な装飾を排した美しい金属ボディーは、キーボードに良好なタイプ感を与える。ビジネス/学業を問わず、オーソドックスで質の高いメインPCを求める人にお勧めだ。

Surface Pro 13インチがお勧めのユーザー

【ペン入力やタブレットスタイルで活用したい人】

 イラスト制作、PDFへの手書き赤入れ、電子書籍の閲覧など、2in1構造を生かした自由なスタイルで作業したい人には、キーボードを取り外せる本製品は一押しだ。

【Web会議やプレゼン、対面での記録作業が多い人】

 本製品のインカメラは高画質かつ広角なので、自動フレーミング機能を使った際により広い画面を提供できる。アウトカメラもホワイトボードや黒板の板書を撮ったり、現場の写真を撮ったりする際に便利だ。

【画面の鮮やかさを重視する人】

 本製品の高コントラストなOLEDパネルは、映像体験や発色の良さを重視するユーザーにとって魅力的な選択肢となる。

 なお、Snapdragon X2 Plusモデルは液晶パネルとなるので注意したい。


 Snapdragon X2 Eliteの搭載により、今回の個人向けSurfaceシリーズは従来のArmアーキテクチャPCが抱えていた処理能力への懸念を大きく薄め、高い応答性と優れたバッテリー持続性能を兼ね備えたプロダクトへと進化した。

 一方で、ゲームを楽しむ場合や専用ドライバが必要な周辺機器を使う場合に“事前確認”が必要であることに変わりはない。その点を理解した上で選ぶことが重要だ。

 自身の作業スタイルが「手書きやカメラを活用するフレキシブルな2in1(Pro)」なのか、それとも「どこでも快適にキータイプできる、バッテリー持ちのいいクラムシェル(Laptop)」なのかを見極めて、最適な1台を選んでほしい。

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