本イベントの発表会後、短時間だが石黒浩氏にインタビューする機会を得たので、いくつか気になることを質問してみた。
―― 近年はLLMなどが進化し、応対もきちんとできるようになりました。研究開発のスピードもかなり速くなったとおっしゃっていたと思います。昔から「人間とは何か?」を理解するという研究をしてきた立場から、現在は(研究について)どのあたりまで進んだとお考えですか。
石黒教授 (むしろ)どんどん遠のいていくように感じます。人間はテクノロジーによって進化するからです。
人間について、はっきりと言えることは2つしかありません。1つは人間は遺伝子だけでなく、技術によっても進化するということです。これは、人間の非常に大きな特徴です。
もう1つは、「人間とは何か?」ということが分からなくても、人間には“人権”があるということです。そして、その人権は社会から与えられる。社会の中で互いに人間として認め合うことによって、私たちは人としての権利を得ることができます。人間について明確に言えるのは、この2つだけです。
―― ゴールはないということでしょうか。これからもずっと、「人間とは何か?」を問い続けることになるのでしょうか。
石黒教授 そうです。人間は、これからロボットの体を持つようになるかもしれませんし、今後もどんどん発展していきます。ずっと進化しながら生き残っていくものが、人間なのです。
―― ジェミノイドHI-6の話し方も、2025年に比べてかなり進化しているように思いました。
石黒教授 (大阪・関西)万博のパビリオンを運営している間も、学生たちが現場でどんどん研究開発を進めていました。そのため、進歩している部分はあると思います。さまざまな質問にも、ほとんど問題なく答えられるようになっています。
―― 今回の「いのちの未来+」は、答えを先に示した上で「では、皆さんはどう思いますか?」と問いかける構成になっていますね。
石黒教授 万博のときは、そこまで直接的には問いかけていませんでした。今回は、みんなできちんと考える場にしたいと思っています。
―― 展示期間が2カ月だけというのは、少しもったいない気もします。
石黒教授 そうですね。ただ、アンドロイドを動かし続けるのは大変です。2カ月間動かすだけでも精いっぱいかもしれません。途中でメンテナンスもしなければなりません。
まだ何も決まってはいませんが、別の場所で開催する可能性もあります。例えば、大阪で開催する可能性もゼロではありません。
―― ジェミノイドHI-6は「第6世代」ということですが、次世代機の構想もあるのでしょうか。
石黒教授 今やっています。
―― 会話などはソフトウェアなので、継続的に進化させられます。しかし、ハードウェアを更新するのは、なかなか大変ですよね。
石黒教授 新しい機体が完成すれば、この人(ジェミノイドHI-6)の予定が空きます。そうなれば、いろいろな場所へ自由に行けるようになるかもしれません。大阪・関西万博をきっかけに、ロボットブームがどんどん盛り上がってきています。アンドロイドやロボットへの関心も高まっていると思います。
―― ありがとうございました。
「アバターのある日常」は日本から生まれ、世界を変えていく――大阪大学の石黒教授が見据える未来社会
「人間型ロボット」「アバター」がAIと出会うと何が起こるのか? 大阪・関西万博「いのちの未来」プロデューサーが語る“アバターと未来社会”
Z世代はオンラインと現実社会の人格ギャップに悩んでいる? レノボが「デジタルウェルネスキャンペーン」を展開する理由
累計来場者数1000万人を突破した大阪・関西万博の「Mirai Meeting」で感じた驚き 実は会場の内外で触れていた日立製作所のテクノロジー
「ノモの国」でパナソニックグループが次世代の子どもにアピールした理由 「大阪・関西万博」のパビリオン訪問記Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.