まるで“狂気の沙汰”──ジョブズ時代のAppleを感じさせる「iPhone Duo」のヒンジと製造工程本田雅一のクロスオーバーデジタル(4/5 ページ)

» 2026年09月11日 15時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

採算よりもブランドの象徴か

 その工程は、コストと速度をそのまま食う。全数スキャンと全数の3Dプリントをラインに挟めば、タクト(1台あたりの生産ピッチ)はその工程で律速される。iPhone 18 Proが9月18日に発売されるのに対し、iPhone Duoの発売が5週間後の10月23日であることは、これと無関係ではないはずだ。

 折り曲げ試験の回数は公表されていないが、インナーディスプレイの修理はAppleによると米国で99ドル(AppleCare+加入時)だが、未加入時の修理費は執筆時点で公表されておらず、パネルを交換したときに1台ごとの補正を店頭で再現できるのかも分からない。

 厚さと軽さなら、7月に出た「Galaxy Z Fold8」(開いて4.5mm、約201g)の方がiPhone Duo(5.2mm、254g)より先を行く。さらに、36万4800円という価格では、iPhone Duoが台数を稼ぐ製品にならないことは、Apple自身も分かっているだろう。

photo 先行した「Galaxy Z Fold8」

 Appleは、今秋のラインアップについて「ユーザーに選択肢を与えること、そして出す前にきちんと準備ができて完成したものしか出さないこと」という方針に集中していると語ったが、どれだけ多くのiPhone Duoを販売したいといった話は出てこなかった。

 ユニボディを量産工程で正当化できたのは、それが「1つの部品」という結果を出す唯一の方法であり、MacとiPhoneを唯一無二の製品に引き上げる鍵となる技術だったからだ。今回のヒンジに採用する技術も、採算よりもAppleというハードウェアメーカーのブランドを象徴する要素だからに他ならない。

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