Snapdragon X2 Eliteの実力は? 次世代AI PC「OmniBook Ultra 14-kg」を試す(2/3 ページ)

» 2026年10月05日 12時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

公称で約28時間、実測19時間相当のロングバッテリー

 本機のバッテリー容量は約70Whで、公称駆動時間は最大28時間だ。これはHP独自のテスト結果で、その内容は画面輝度200ニトでフルHDの動画を再生し続ける内容とのこと。

 実測のテストは、画面輝度100%、システム制御はSmart Senseモードに設定した状態で、UL Procyon Benchmark Suites(VideoPlayBack One Hour Battery Consumption)を使い、1時間の消費バッテリー容量を計測した。

 テストはバッテリー残量が5%で停止したが、同じペースで残量100%から5%まで減るとすると、19時間駆動できることになる。公称時間ほどではないが、最大輝度(公称500ニト)で常時動画を再生しながらこれだけの長時間駆動できるのは心強い限りだろう。

バッテリー容量は70Whだ。公称駆動時間は、約28時間(HPの独自テスト、画面輝度は200ニト)となっている
推定駆動時間は約19時間だ UL Procyon Benchmark Suites/VideoPlayBack One Hour Battery Consumptionの結果(画面輝度100%)。推定駆動時間は約19時間だった

シンプルな端子内容

 通信機能は、Wi-Fi 7対応の無線LANとBluetooth 5.4を標準で装備する。

 インタフェースは、ヘッドフォン/マイク兼用端子と3基のUSB Type-C端子のみだ。いずれも最大40Gbps対応の高速端子で、USB PD(Power Delivery)による充電、画面出力(DisplayPort Alternate Mode)にも対応する。

日本語キーボード 日本語キーボードは、実測でキーピッチが19(横)×18(縦)mmだ。カーソルの上下キーは若干小さい。ホワイトLEDのバックライトを内蔵している。
キーボード右上端に電源ボタンがある。他のキーとは押下圧が異なり、強く押さないと反応しないようになっている。
前面 前面中央部にくぼみがあるため、ディスプレイはスムーズに開ける
背面 背面。排気口はヒンジの内側にある
左側面 左側面にUSB Type-C端子とヘッドフォン/マイク兼用端子がある
右側面 右側面にあるUSB Type-C端子は最大40Gbps対応で、画面出力やPCの充電にも対応している。HDMI端子がないので、利用には別途変換アダプターが必要だ

Copilot+ PCならではのAI体験

 本機はCopilot+ PCの要件を満たしており、MicrosoftがWindows 11に組み込んで提供しているローカルAI機能を利用できる。

 カメラ映像に背景ぼかしなどの効果をリアルタイムにつける「Windows スタジオ エフェクト」や、PCで行った操作、見たものを記録して遡れる「リコール」などが代表的な機能だ。

 これら機能のAI処理は、Snapdragon X2 Elite(X2E-90-100)内蔵のNPUを活用して効率よく実行されるため、バッテリー駆動中にバッテリーの消耗をあまり気にせず利用できる。

Webカメラ 画面上部に約500万画素のWebカメラ、アレイマイク、顔認証用IRカメラを装備する。物理的にレンズを隠すプライバシーシャッターも備えている
Windows スタジオ エフェクト Windows スタジオ エフェクトには、IntelやAMDのCPU搭載機にはないような多彩な効果が用意されていた

「Armリスク」には注意が必要

 Snapdragon X2 EliteはArm64アーキテクチャを採用しており、OSであるWindows 11もArm版のWindows 11となる。現在主流のIntelやAMDのCPU(x86アーキテクチャ)を搭載したPCとは根本の構造が異なり、周辺機器やソフトウェアの互換性問題が残っている。

 x86版ソフトウェアもほとんどはエミュレーションによって動作するが、エミュレーション動作ではパフォーマンスが犠牲になり、フルパフォーマンスを発揮するためにはArm64にネイティブ対応したソフトウェアが必要だ。また、Armネイティブ対応しているソフトウェアでも、x86版と同じ機能が全て使えるとは限らない。

 例えば、アドビのAdobe Creative Cloudでは、従来のPhotoshopに加えて、2026年からPremiere、After Effects、Audition、Media EncoderがArm64をネイティブサポートした。ただし、同社のヘルプページを見ると「x86版では使えるがArm版では使えない機能」はまだいろいろあるようだ。

 この辺りは順次サポートが進んでいるものの、x86環境に慣れていると思わぬ落とし穴がある場合が見られる。今回の試用中も、ベンチマークなどで互換性の課題を感じる場面がいくつかあった。

 定番テストの1つであるPCMark 10は動作しない(実行メニューに表示されない)ため、Microsoft Officeを利用するPCMark 10 Applicationsを使っている。

 また、UL Procyon Benchmark Suites/Video Editingでは、使用するプロジェクトファイルがPremiereのネイティブ対応前のバージョン(25.x)で作成されていることから、26.0以降のバージョンではスコアが正常に出なかった。以前のバージョン(25.6.6、エミュレーション動作)で実施してみたが、ベンチマークは完動しなかった。

 CINEBENCH 2026やCINEBENCH 2024では、x86版とArm版の両方のソフトウェアが用意されているが、x86版を使ってもエミュレーションで動作するため、当初x86版でテストしていて、想定より大幅に低いスコアが出てミスに気付くという場面があった。

 このようにソフトウェアがアーキテクチャ別に配布されている場合、意識してArm版を選択してインストールしないと本来のパフォーマンスを発揮できていない状態で使い続けてしまう可能性があるので、その点も注意が必要だ。

Snapdragon X2 Eliteは、Arm64アーキテクチャのCPUのため、本領を発揮するにはArm64ネイティブ対応のアプリケーションを利用する必要がある。こちらはCINEBENCH 2026(Arm版)の実行結果
CINEBENCH 2026(x86版)もエミュレーションで動作した。Processorの欄が「Virtual CPU」となっており、スコアも大幅に低く出ている

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