説明会当日に発売された「PRO MAX EDGE AI+ 11M-008JP」は、「とにかくミニマルサイズで洗練されたAIワークステーション」とMSIがアピールする容量約4Lの小型ボディーが特徴だ。注目が高まっているローカルAIの用途に最適化しているという。直販価格は81万8000円だ。
想定用途は、AI推論やバイブコーディング、ゲーム開発、Web検索の自動化などだ。CPU/GPUの演算性能が高く、内蔵GPUでAAAタイトルのゲームもプレイできるとしている。
プロセッサはAMDの「Ryzen AI Max+ 395」を搭載する。16コア32スレッドのCPUに、内蔵GPU「Radeon 8060S」を組み合わせたもので、L3キャッシュは64MB、AI性能は最大126TOPSとなっている。メモリは128GBで、そのうち最大96GBをビデオメモリに割り当てられるため、大きなモデルも扱える。
同社が2026年6月時点で検証したローカルLLMの平均出力速度は、以下の通りだ。対話型で使うにはおおむね毎秒20トークン前後出ていれば十分としており、いずれのモデルもこれを上回ったという。
MSIは、9月の一般公開以降「125BのQwenがゲーミングPCレベルのマシンで動く」と話題になっているAI推論エンジン「Strata」を使った検証も行ったという。対象は、総パラメータ数125B(アクティブパラメータ6B)のMoEモデル「Qwen 3.8 flash next」だ。
フォーマット「IQ3_S」で量子化し、コンテキスト長は128Kとした。試しにミニゲームを作らせたところ、入力(プリフィル)は毎秒662トークン、出力は毎秒39トークンとなったという。通常は動作が難しいモデルでも、推論エンジン次第で実用的な速度で動かせるというわけだ。
MSIの担当者は、クラウドのAIをAPIで運用すると、トークンの消費量や5時間ごと・週ごとの利用制限が懸念材料になると指摘する。一方、本機でQwen 3.8 flash nextを稼働させた際の消費電力は、システム全体で200W弱だった。24時間連続で稼働させても、電気代は月3000円前後に収まるとして、ワットパフォーマンスの高さをアピールした。
説明会の後半では、映像監督でアートディレクターのかとうみさと氏が登壇し、事前にPRO MAX 341QPXW14Gを試用した感想を語った。
かとう監督は、ミュージックビデオ(MV)を中心に、ドラマや広告などの映像を幅広く手掛けている。代表作には、ドラマ「セラピーゲーム」(日本テレビ)、「少年のアビス」(MBSドラマ特区)、「熱愛プリンス」(MBSドラマフィル)の他、CANDY TUNE「アイしちゃってます」、Tomohiro Kamiyama(WEST.)「Tokyo」、IF「いつかまた」のMVがある。普段は実写の作品がメインで、CGが必要な場合は外注したり、さまざまなAIを活用したりしているという。
映像制作は分業化されているイメージがあるが、かとう監督は自ら手を動かすことも多い。「企画を考え、絵コンテを書き、撮影、編集、カラーグレーディングという一連の流れがある。私は企画、絵コンテ、撮影、編集まで担当している」(かとう監督)
普段の制作環境は「Mac Studio」で、編集には「Adobe Premiere Pro」を使用している。ディスプレイは一般的なワイドタイプを使っているという。
ウルトラワイドの効率について、かとう監督は「いつもはPremiereを画面いっぱいに表示して編集している。編集後には修正依頼や指示書が届くことが多く、普段はノートPCを横に置いて確認しているが、ウルトラワイドならメモを横に表示しながら編集できて、すごく効率がいい」と感想を話した。画面の幅は「広ければ広いほど作業しやすい」という。
外観については、ウルトラワイドの横幅の広さに加え、本体が薄く、スタンドも細くて場所を取らないため「回りに資料やPCを置けるのがいい」と評価した。
画質面で特に印象的だったのは黒の表現だ。「普通のディスプレイだと、黒はペタッとした一色になりがちだが、黒のグラデーションがきれいで奥行きも感じられる」とかとう監督。サテン生地を撮影した映像を例に、「スマートフォンで見ても分からない素材感や質感が、このディスプレイだときれいに伝わる」と語った。
Macに近い色味を再現できる点については、カラーグレーディングの工程で役立つとする。「MVを見るのはスマートフォンやPCが多いと思う。実際に視聴されるときに近い色味を再現できるのは非常にいい」(かとう監督)
映り込みの少なさも好評だった。普段は反射している部分を何げなく避けながら色を確認しているため、反射しにくいパネルのメリットを実感したという。
M-Syncによる明るさや音量の連動、USB Type-Cケーブル1本での充電については、「企画書を外で作り、終わらなかった分を家で続けるときに、ノートPCをつなぐだけですぐキーボードで作業できる」と利便性を挙げた。自宅のディスプレイはつまみで音量を調整しているため、キーボードから操作できる点も便利だとした。
最後にかとう監督は、「MVは細かいディテールを積み重ねて世界観を作る。色彩や質感、奥行きを表現できると、作品作りにおける心の自由が生まれ、作品のクオリティーも上がっていくと感じた」と締めくくった。
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