NVIDIAは10月15日(米国時間)、同社のWindows向けSoC「RTX Spark」(開発コード名:N1X)を正式に発表した。その翌日の10月16日には、Microsoftの「Surface Laptop Ultra」をはじめとしたOEMメーカーの搭載製品の販売が開始された。
このRTX Spark、そしてそれを搭載したSurface Laptop Ultraは何がすごくて、PCの形をどのように変えていくのだろうか。NVIDIAの説明会や実機などから分かったことを中心にお伝えしていこう。
NVIDIAにとって、Windows向けのSoC提供は今回のRTX Sparkが初めてというわけではない。今から14年前の2012年10月に、Microsoftが提供開始したArm版の機能限定Windowsとなる「Windows RT」向けに、「Tegra 3」と呼ばれるArm ISAを採用したSoCを提供した。
Microsoftの製品である「Surface」(後にSurface RTと呼ばれることが多いが正式な製品名はSurface)にTegra 3が採用され、2013年に販売開始された第2世代の「Surface 2」にはTegra 4が採用されるなど、当時のNVIDIAにとっては期待の製品だった。
しかし、残念ながらどちらの製品も成功というわけにはいかず、結局後継製品が出ず、NVIDIAのWindows向けSoCはその2世代で終わりを告げた。その最大の理由は、ユーザーにWindows RTが受け入れられなかったからだ。
6月に開催された「COMPUTEX TAIPEI 2026」でのArmの記者会見の様子、Armのレネ・ハースCEO(左)からプレゼントされた「Surface」(いわゆるSurface RT)を手に持つNVIDIAのジェンスン・フアンCEO。背景には、14年前には部下と上司だった2人の若き日の写真がWindows RTが成功しなかった理由はいくつかあるが、最大の理由はプログラマブル(アプリケーションソフトウェアをインストールして、ユーザーの使い勝手に合わせて調整可能であること)であることがWindowsの最大の特徴なのに、プリインストールされているMicrosoft Office以外のアプリケーションがインストールできないような仕様になっていたからだ。
もっとも、その時点ではArmに対応したWindowsアプリケーションというのはほぼ皆無だったため、インストールしようもなかったのだが……。
6月のCOMPUTEX TAIPEI 2026でArmが開催した記者会見では、このことを象徴する出来事があった。Armのレネ・ハースCEOは、ArmのPC市場における取り組みを説明する会見の最後に、前日にRTX Sparkを発表したばかりのNVIDIAのジェンスン・フアン氏をステージに呼んで、一緒にArm CPUを搭載したRTX Sparkの発表を祝っている。
その時にハース氏がフアン氏に渡したのは、なかなか“ロック”な記念品だった。大失敗に終わった黒歴史であるはずのTegra 3搭載の初代Surfaceに、ハース氏が自身のサインを入れてフアン氏にプレゼントしたのだ。
このプレゼントが二重の意味で面白いのは、展示会場などを訪れて自社製品にサインを入れるというフアン氏の作法ともいえる行動をまねたことであり、もう1つはそもそも14年前にそのTegraシリーズの事業を担当していたフアン氏の部下が、当時NVIDIAで働いていたハース氏自身だったことだ(ハース氏は2013年にArmに移籍し、2022年にCEOに昇格している)。
つまり、「大失敗に終わったWindows向けのTegraだったけど、それがあったから今このRTXがあるのですよね、かつての上司さん!!!」というなかなかパンチの効いたアイロニーだと、会場にいた関係者にはすぐに分かった。実際、会場にいた多くの関係者から爆笑が湧き起こった。
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