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» 2010年04月06日 07時00分 公開

サイエンスフューチャーの創造者たち:「パンドラの箱がある以上、誰かが開けるんで」 セカイカメラ井口氏×ラブプラス内田氏 (3/4)

[ITmedia]
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井口氏 ウチの社内でも急先鋒でラブプラスを広めているんですけど、自分の声でコミュニケーションする部分に踏み込めない人もいて、そこを乗り越えさせるのは、ある意味ラブプラスの挑戦だと思ってます。人間って不思議なもので、実際に口に出していると段々と思い入れや意識が高まってくる。やはり音声認識の仕様はそうした効果を見越していたんですか?

内田氏 もちろんそうです。ゲームの選択肢を声に出すことで、肉体を伴う経験として残ります。タッチペンで触れる仕掛けも、まさにそういう狙いがあります。マウスでクリックするよりタッチペンのほうが実際に触れている感覚に近く、マウスとは全然違う経験として蓄積される。

井口氏 そういう意味ではタッチペンいらずのiPadとかいいですよね。

内田氏 いいですね。10本指全部認識してほしいですよね(笑)

井口氏 あはは! いろんなことできるようになっちゃいますね(笑)

内田氏 あと、人間の感覚の多くは視覚と聴覚が占めているので、それらを押さえれば現実のように錯覚させることが可能なはず。ラブプラスはその錯覚の入り口にいる段階なんだと思います。

井口氏 ラブプラスって、キャラクターの声のインパクトが強い。声優さんのクオリティーにはものすごいものがありますよね。よく付き合ってもらえましたね。

内田氏 いや、ホントに僕もそう思います。今回は役者さんが本当にモチベーションが高くて、自分たちのやっていることがお客さんに与える意味をきちんと理解したうえで演じてもらえました。そうやって作り上げると、お芝居をやっていただいている瞬間は、役者さんは完全にそのキャラクターになってる。だから逆に、役者さんから「こういうことは言わないんじゃないの」と指摘があったり。とてもありがたかったです。こういう積み重ねが、声の波形データ自体をも物理的に変えるんだと思います。

井口氏 ところで、クラウドとかWebの世界と比較すると、ゲームは開発期間も長いし、クローズドなチームで合宿のように作り上げますよね。しかもROMなので、発売した後は変えられない。改修しながら作品を作るWebのスタイルや、ユーザー参加型でコンテンツを生みだしたりする方向性には興味はありませんか?


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内田氏 ありますね。例えばゲームの企画会議をUstreamで流したら面白いんじゃないかとか思いますね。「こういうことやりたい」といったことをUstreamで延々と話して、ユーザーの反応を聞くとか面白いと思います。

井口氏 そうですか! それは意外ですね。先日、AMDアワードでセカイカメラが大賞を頂いたのですが、その際に大賞候補としてノミネートされていた「アバター」に対して、“エリート中のエリートが圧倒的なクオリティーで作品をつくり、アマとの違いを見せつけた”といった主旨の評価があったんです。ラブプラスはそうした方向性を目指していると思っていました。

内田氏 もちろんキャラクターや世界観を作っているときは、そういう気持ちで取り組んでいます。他人が書いたシナリオを見てイライラしてしまうこともある(笑)。けれど、アイデアの部分ではフラットに情報を集めたいと思っています。恋愛ゲームでいえば、「もっと親密に毎日一緒にいる方法はないか」といったビジョンの部分は率先して自分が練り上げますけど、それをどう遊びの要素に落とし込むかは、ディスカッションの中で決まっていくものなんです。

井口氏 なるほど、僕らのセカイカメラはプラットフォームを目指しているので、企画の姿勢はラブプラスに比べると「空虚」かもしれません。というのも、何かがそこに存在することを保証する立場では作っていなくて、コンテンツがやりとりされる場を作ろうとしている。だから、“空っぽ”であることが重要なスタンスだとも思ってますし、どういう空っぽを作ると面白いかという点はフルオープンで議論したい。一方で、メーカーやプロバイダーとしての感覚で見られると、かみ合わないことがありますね。

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