2010年はケータイ市場が変わる「元年」になる――シャープ 大畠氏に聞く(1/2 ページ)

» 2010年06月21日 16時33分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 携帯電話メーカーを取りまく環境は厳しさを増し、その舵取りは一段と難しくなっている。足元を見れば、国内携帯電話市場は停滞したまま回復のきざしが見えず、一方でAppleの「iPhone」が躍進。その後に続くべく、iPhone型のコンシューマー向けスマートフォンの存在感が日増しに強くなっている。また、今後を見据えると、海外市場への進出やSIMロック解除に代表される販売制度のさらなる変化、LTEへの取り組みなど、メーカーの前にある課題は数多い。

 こうした大きな端境期に、日本の携帯電話メーカーはどのような戦略で臨むのか。シャープ 執行役員 情報通信事業統轄兼通信システム事業本部長の大畠昌巳氏に話を聞いた。

市場の二極化傾向が顕著だった2009年

photo シャープ 執行役員 情報通信事業統轄兼通信システム事業本部長の大畠昌巳氏

ITmedia(聞き手:神尾寿) 日本国内の携帯電話市場は販売における分離プラン導入やリーマンショック後の不況の影響もあり、長らく低迷しています。2009年から2010年の概況をどのようにご覧になっていますか。

大畠氏 全体的に低迷は続いています。2009年の携帯電話市場は3590万台で対前年比92.8%、2010年も端末販売の縮小は続き、年間で3260万台規模ぐらいになるのではないかと考えています。振り返りますと、2007年からずっと(携帯電話販売数は)下がり続けているわけです。

――販売市場の縮小は持続的なものになっているのでしょうか。

大畠氏 数字だけ見るとその通りですが、詳しく状況を見れば変化もあります。とりわけ注目しなければならないのが、スマートフォン市場が拡大していることです。昨年後半から、この傾向が顕著になっています。

――しかし、売れているのは「AppleのiPhoneだけ」という傾向ですね。

大畠氏 確かにおっしゃるとおりですが、今年春に発売されたソニー・エリクソンの「Xperia」も好調です。また、先般発表されたAppleの「iPhone 4」もブレイクするでしょう。

 全体的な変化として重要視しなければならないのは、従来型のケータイからスマートフォンにシフトする動きが出てきているということです。従来型のケータイであれば買い換えをためらうユーザーも、スマートフォンであれば食指が動く。こういった傾向が出てきているとみています。

――スマートフォン市場の動きは、ここにきて速くなっています。ドコモやKDDIが予測した「2台目市場向け」という過渡期の段階を一気に飛び越えようとしている。少なくともiPhoneは、いまや“1台目”として買う人が主流になってきています。

大畠氏 最近では「1台目需要」が重要になっていますね。そう考えますと、1台目として魅力的なスマートフォンを積極的に投入すれば、買い換えを促すことができます。我々は、2010年後半からスマートフォンが市場の活性化に貢献し、これによって2011年には(年間販売台数が)増加に転じるのではないかと予測しています。

――とりわけハイエンド市場では従来型ケータイの販売数が激減しています。スマートフォンと、ミドルクラス/ローエンドの従来型ケータイという市場の二極化が明確になりつつある。

大畠氏 そうですね。従来型のケータイにおいて販売の構成がハイエンドからミドルクラス以下にシフトしたのは、近年の特長と言えます。ドコモのSTYLEシリーズのようなミドルクラスと、ローエンドモデルが売れ筋になっています。

 また、ミドルクラスの市場で注目なのが、ファッションブランドなどと提携した「コラボレーションモデル」ですね。こういった端末はよく売れています。またローエンドは(ソフトバンクモバイルやドコモの)2Gの巻き取り需要もあって売れました。

スマートフォンは「1台目」として作る

――2010年以降の携帯電話メーカーにとって重要なのが、スマートフォンに対する取り組みです。シャープは以前からWindows Mobile(現Windows Phone)ベースのスマートフォン開発を積極的に行ってきましたが、これらはどちらかというとビジネスユーザーやマニア向けでした。一方で、今年に入って投入されたau向けの「IS01」などでは、今までよりもコンシューマー層を狙ったものになっていますね。

大畠氏 これまで作ってきたWindows Mobileベースのスマートフォンは我々にとって重要な資産になっていますが、それだけでは今後の市場の変化に対応できません。そこで昨年からAndroidをベースにコンシューマー向けのスマートフォンを開発しています。

 コンシューマー向けスマートフォンを作るにあたって特に重視したのが、キャリアサービスへの対応です。Androidを使ってグローバル展開を視野に入れることは大切ですが、それだけでは日本の「普通のユーザー」に使いやすいものにはならない。夏商戦向けの新モデルでは、完全には対応できませんでしたが、今後はキャリアサービスやおサイフケータイなど日本市場のニーズにきちんと応えたスマートフォンを出していきたいと考えています。

――それは「1台目のスマートフォン」を作るために必要なことであると。

大畠氏 まさしくその通りです。これからのスマートフォンは、日本の一般ユーザーが(1台目の端末として)ケータイから買い換えても使いやすいものでなければなりません。そのためには日本市場にあわせたカスタマイズが必要ですし、バッテリーの持続時間ももっと延ばさなければなりません。また多くの人が使いやすいクラウド型サービスの提供も、メーカーとして考えていかなければならないでしょう。

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