タブレット端末を美容院のコミュニケーションツールに――。NTT東日本とユニティーベルが提供する「ビューティアルバム for 光iフレーム2」はAndroidタブレットを利用した、こんなコンセプトのヘアカタログサービスだ。来店者が面倒な説明をすることなしに、希望するヘアスタイルを伝えられるようにするもので、待ち時間を有効利用するための工夫やデジタルサイネージ機能も盛り込んでいる。
端末はNTT東日本の7インチ型タブレット「光iフレーム2」を採用しており、普段は店のサービスやお知らせを表示するデジタルサイネージ端末として利用できる。顧客が来店すると、ヘアスタイルを決めるためのカルテ端末に早変わり。カットやパーマの最中には同社のコンテンツ配信サービス「フレッツ・マーケット」のニュースやゲームを楽しめるエンターテインメント端末として利用できる。NTT東日本 東京支店の後藤玲子担当課長(企画部 経営企画部門 広報担当)は「1台のタブレット端末が美容院の中で何役もこなしてくれる」と話す。
メインのヘアカタログ作成機能は、仕上がった髪型を端末の内蔵カメラ(300万画素)を利用してフロント、バック、両サイドから撮影し、その画像をクラウド上に保存することでヘアスタイルの履歴を残せるもの。メモ機能も用意され、利用したパーマ液やカラー剤、スタイリングのポイントなどの情報も記録できる。これらの記録がカルテ代わりになり、次の来店時に役立てられるというわけだ。NTT東日本 東京支店の柳梨江子主査と白戸冴子氏(オフィス営業部 企画部門 市場開拓担当)は、このサービスのメリットを「前回と同じ髪型にするなら写真を見れば分かるので、面倒な説明をする必要がなく、前の髪型をベースにアレンジする場合でも説明がしやすい。『こんなはずじゃなかった』という事態を回避できる。担当の美容師が辞めてしまった場合でも、記録を見ればほかのスタッフが対応できる」と説明する。
この記録はIDとパスワードで管理され、顧客が自宅のPCから閲覧することも可能。顧客側は自宅でのスタイリング時にデータを活用でき、美容院側はサービスの質の向上や顧客の囲い込みに役立てられる。「最近では、紙のカルテをデジタル化することで省スペース化を図りたいという美容院も多く、こうしたニーズにも対応できる」(白戸氏)
2012年の年末からは、サービスを営業する中でニーズが高かったネイルカタログの提供も開始。スマートフォンとほぼ同じ操作で利用できる手軽さもあいまって、引き合いが増えているという。
NTT東日本では、「女性の視点でIT系サービスを考える」というコンセプトのもと、育児中の女性スタッフや産休明けの女性スタッフを集めて立ち上げたチームがあり、ビューティアルバム for 光iフレーム2も、このチームが開発を手がけたという。
「育児中のママ友たちと接する中で、彼女たちがどんなITサービスを必要としているかが見えてくる。2年ほど前に、それを形にするためのチームを立ち上げ、さまざまな検討を行う中で生まれたのが、このサービス」(白戸氏)
「デジタルサイネージ用途で提案していた端末を、もっといろいろな形で活用できるのではないかと考えたときに、ママの視点だと、『説明なしに前と同じ髪型にできる』『これまでの髪型の記録が残せる』『一緒に来た子供が飽きないように遊べる』『待ち時間に楽しめるコンテンツがある』といったニーズが思い浮かんだ。今回のサービスは、これを形にした」(柳氏)
スマートフォンやタブレット端末は今や一般層にも普及し始めており、サービスの開発にあたっては、“普通の人が心地よく便利に使えること”が重要視されている。同社では今後も、女性視点のサービスを充実させていく考えだ。
ビューティアルバム for 光iフレーム2は、NTT東日本のタブレット端末「光iフレーム2」に、ユニティーベルのヘアサロン向けクラウドサービス「ビューティアルバム」を組み合わせて提供している。
端末価格は1万9950円。レンタルは月額525円で利用できる(2年間の継続契約を条件とした場合。途中で解約すると解約金6825円がかかる)が、NTT東日本の光回線サービス(フレッツ 光ライト、フレッツ 光ネクスト、Bフレッツのいずれか)に契約する必要がある。なお、この525円のレンタル料の中には、コンテンツ配信サービス「フレッツ・マーケット」の利用料も含まれている。
ビューティアルバムの利用料は1店舗当たり月額1万500円。この中にはヘアサロンの料金表を組み込むためのカスタマイズ料金と、400ユーザー分のデータを登録できるクラウドサービスの利用料も含まれている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.