韓国から“ケータイ型Androidスマホ”が日本に上陸したワケ 3G停波の受け皿を狙う「ケースマ」の勝算石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2026年02月14日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 韓国発のスタートアップで、シニア向けやキッズ向けのスマホを手掛けるALT(アルト)が、日本に上陸する。第1弾として、2月19日にはテンキー搭載型のスマホとなる「MIVEケースマ」を発売する。ケースマは、オープンマーケットモデルとして家電量販店を中心に展開するが、イオンモバイルやJ:COM MOBILEといったシェア上位の大手MVNOも取り扱いを決めた。

 Appleとサムスンがシェアを二分している韓国で同社が伸びているのは、ボリュームのあるニッチ市場を狙っている戦略が当たっているからだという。超大手の2社が攻めない市場を取ることで、販売数を伸ばしている。日本ではローカライズを徹底しつつ、この戦略を踏襲する。では、なぜこのタイミングで日本参入を決めたのか。そこには同社の拡大戦略と、日本ならではの事情があった。

ALTケースマ 韓国スタートアップのALTが、日本に参入した。第1弾となるのは、テンキー搭載型スマホのMIVEケースマ。ホワイトとブラックの2色展開で、価格は3万4800円から

上場を機に拡大戦略を加速、最初の海外としての日本市場

 iPhoneが約半数を占め、残りを複数のAndroidスマホメーカーで競う日本市場とは異なり、韓国市場ではAppleとサムスンが“二強”として君臨する。LGエレクトロニクスやパンテックといったメーカーはスマホから撤退しており、海外メーカーのシェアもごくわずかだ。そんな韓国市場で、シニア向けやキッズ向けのスマホを手掛け、徐々に販売を伸ばしているのがALTだ。

 同社は、2017年に設立されたスタートアップ。そのCEOを務める李尚洙(イ・サンス)氏は、LGでキャリアをスタートした後、サムスン電子やパンテックなどのメーカーや、SKテレコムといったキャリアを渡り歩いてきた。同氏は、パンテック在籍時代、KDDIとも端末を開発したいわばベテラン。そんなイ氏がスマホの分野として目をつけたのが、シニア向けやキッズ向けといったニッチ市場だ。

ALTケースマ
ALTケースマ ALTは、2017年に設立された企業。韓国では特定セグメントにターゲットを絞ったスマホに加え、ロボットやSTB(セットトップボックス)などを手掛けている

 韓国では「シニアとキッズを中心に、セグメント市場に向けた戦略製品をそろえている」(李氏)という。シニア向けは、テンキーやSOSボタンを搭載。キッズ向けは、ポケモンやサンリオとのコラボで、キャラクターを打ち出した端末を展開する。これまでに販売した携帯電話端末は150万台。グローバル展開するスマホと比べると規模は小さいものの、韓国では3大キャリアに採用されるなど、着実に規模を拡大している。

ALTケースマ CEOの李氏は、サムスン、LG、パンテックといった韓国の大手家電メーカーを渡り歩いてきた。SKテレコムにも勤務した

 こうした実績が評価され、ALTは韓国の新興企業向け市場であるKOSDAQに上場した。次の一手として同社が狙っているのが、海外進出だ。人口が約5000万人の韓国は、日本に比べて国内需要が小さいこともあり、規模を拡大する際に海外へ打って出るのが一般的。イ氏が在籍してきた3メーカーも、同様の戦略でグローバルに展開している(いた)。

ALTケースマ 25年にKOSDAQに上場。そこを起点に、海外での拡大をスタートさせた。最初に目をつけたのが、日本市場だ

 ALTも、日本を皮切りに米国への展開を予定しているという。最初の海外展開が日本になったのは、市場特性の近さに着目したからだという。李氏は、「韓国と日本はお客さまの習慣が似ている」と語る。確かに、販売においてキャリアの力が比較的強く、シニア向けやキッズ向けといった特定のセグメントに特化した端末が比較的流通しているという点で、韓国と日本には類似性がある。「メインの市場はAppleが占めている」(同)という点も、市場の共通性といえる。

 ニッチ市場向けの端末を作り込むことができ、かつキャリアとの取引も多い点は、ALTの強みになる。第1弾のケースマはオープンマーケットモデルだが、大手キャリア市場への参入意欲も高い。ALTの日本法人でCOO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)を務める金希哲(キム・ヒチョル)氏も、「海外メーカーが進出してすぐにお付き合いできないのは重々承知しているが、引き続きお話を伺いながら、機会を見つけていきたい」と話す。

ALTケースマ 金氏は、キャリアとの話し合いを続けていくと語った
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