2026年3月末に迫ったドコモの3G停波。この大きな節目を前に、FCNTは8月7日、NTTドコモを通じて4G対応フィーチャーフォン「らくらくホンF-41F」を発売した。フィーチャーフォンはもはや過去のものと思われがちだが、らくらくホンF-41Fは、長年にわたるらくらくホンシリーズで培われた「使いやすさ」をさらに進化させ、スマートフォンユーザーにとっても魅力的な「シンプルさ」を提案する1台だ。
FCNTは、旧富士通グループから独立し、現在は中国のLenovo傘下にある企業だ。「arrows」や高齢者向けの「らくらくスマートフォン」シリーズなど、さまざまな携帯端末を手掛けてきた同社だからこそ、シンプルながらも使いやすさを追求したフィーチャーフォンの開発が可能となったといえるだろう。
らくらくホンF-41Fの最大の特徴は、携帯電話に求められる基本機能と、使う人へのきめ細かな配慮が両立している点にある。通信方式は4Gに対応しているため、ドコモの3G停波後も問題なく通話ができる。本体は物理ボタンを搭載した2つ折りの形状で、昔ながらのフィーチャーフォンを使い慣れた方でも違和感なく移行できるだろう。この基本的な2点を踏まえた上で、実際に使った所感をお伝えしたい。
実際にらくらくホンF-41Fを使ってみると、単なるスペックの高さだけではない、使う人のことを第一に考えた細やかな工夫が随所に見られた。
最も印象的なのは、本体を開いたときにディスプレイ下部に位置する3つのボタンだ。これらは「らくらくホンのメニュー画面」へ瞬時に移動できるボタンと、事前に登録した相手にボタン1つで電話をかけられる3つの「ワンタッチダイヤル」である。とっさに電話をかけたいときに非常に便利で、従来のフィーチャーフォンではあまり見られない、らくらくホンならではの親切設計といえるだろう。
文字入力のしやすさにも、徹底的なこだわりが見られる。ボタンは大きくて押しやすい「凸形状」になっており、爪でも指の腹でも快適に操作できる。また、キーパッドのうち、通話開始は緑色、終話は赤色と色分けされているのも、視覚的に分かりやすい工夫だ。
ディスプレイの見やすさも、らくらくホンの大きな特徴だ。ユニバーサルデザインフォント「UD新丸ゴ」に対応し、大きな文字サイズで見やすさが向上している。さらに、サブディスプレイも先代モデル「F-01M」と比較して1.25倍大きくなり、時計や歩数の表示がより見やすくなった。メニュー画面はスマートフォンとは異なり、簡易的な電子辞書のように上から下に向かって項目が並ぶUIを採用。各項目には番号が割り振られており、物理キーで直感的に操作できる。これは、複雑な操作が苦手な人でも安心して使える大きなポイントだ。
使う人の年齢に合わせて、見やすい画面の色合いに自動で調整する機能も搭載されている。年齢に合わせてディスプレイの発色を調整し、より自然な色合いで見られるように配慮されている。
通話機能にも、長年培ってきた技術が生かされている。使う人の年齢に合わせて相手の声を最適な音質に調整する機能や、マスクをしていてもこもらずに聞こえるよう調整する機能により、クリアな通話が可能となっている。また、電話を切る約1分前からの通話、または全ての通話を録音できる機能も備えており、必要な部分を確実に聞き返すことができるのも役立つだろう。身の危険を感じたときには「ワンタッチブザー」機能を利用でき、緊急時にGPSで居場所を知らせることも可能だ。
エンターテインメント機能もシンプルながら充実している。800万画素のカメラは、細かな設定なしで簡単に撮影できる。ワンセグ/フルセグ機能は省かれたものの、「FMラジオ」に対応。アナログ接続方式のイヤフォンをアンテナがわりにしてラジオ番組を聴くことができ、災害時などの情報収集手段としても活用できる。
3.5mmのイヤフォンを既に所有している場合は、USB Type-C端子に接続できるアナログ接続方式のオーディオ変換アダプターが必要になる。こちらはイヤフォンを含めてらくらくホンF-41Fに付属しないので気をつけよう。
別売りのmicroSDを使えば、720pの動画やMP3形式の音楽ファイルを再生することも可能だ。メニューに音楽再生機能はないものの、設定の「着信音の変更」からMP3ファイルを聴くことができ、Bluetooth機能を利用してワイヤレスイヤフォンやワイヤレススピーカーで音楽を楽しむこともできる。
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