電気自動車は離島にこそ向く、宮古島市が軽サイズの車両を導入電気自動車

沖縄県宮古島市が三菱自動車工業の電気自動車(EV)「MINICAB-MiEV」を2台導入した。宮古島市と三菱自動車工業はEV普及に向けた協定を結び、宮古島においてEV導入を促進する方法を検討し、実行していく。

» 2012年11月01日 11時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 今回、三菱自動車工業が納入した「MINICAB-MiEV」2台は、島内の公用車あるいは広報車として利用する予定(図1)。宮古島は台風の直撃を受けることが多く、その影響で局所的に停電することもある。そのような場合は停電している場所にEVを運転していき、EVの蓄電池からの電源を利用して家電製品を動作させることも予定している。

図1 三菱自動車工業が宮古島市に納入した「MINICAB-MiEV」

 宮古島市は政府より環境モデル都市の認定を受けており、CO2排出量を2030年に30〜40%、2050年には70〜80%削減するという目標を立てている。その目標を達成するための取り組みの1つがEVの普及促進だ。2030年に島内の自動車の約40%をEVとする目標を掲げている。宮古島市は公用車としてEVを導入し、EVの普及活動に役立てる。

 三菱自動車工業は宮古島市とEV普及に向けた協定を結んだ理由として、「離島は電気自動車が活躍しやすい環境であり、さらなる環境整備も比較的簡単に進められる」という点を挙げている。

 EVは走行距離の短さが問題になることが多いが、小さな離島の中を移動するなら、走行距離の短さは大きな問題にならない。さらに、三菱自動車工業と宮古島市は、協定の中で宮古島内の各地に充電ステーションを整備することを約束している。

 大都市では十分な台数の充電ステーションをまとめて設置することは難しいが、離島なら十分な台数の充電ステーションを設置しても少ない台数で済む。充電ステーションの設置が済むと、宮古島はEVを運用する上で最適な環境となるわけだ。すでに長崎県の五島列島では環境整備が進みつつあり、かなりの台数のEVが走っている。

 自動車の運用コストの問題もある。離島ではガソリンが高価になる傾向がある。ガソリン車に比べて運用コストが安く済む電気自動車は、離島に向いた自動車だとも言える。

 三菱自動車工業のEVが離島に向いているという側面もある。離島には、細い路地が多く、大きな自動車は入りにくい。三菱自動車工業のEVは軽自動車程度の大きさにまとまっているので、細い路地も苦にしない。

 離島の道路は上り下りが多く、軽自動車では力不足を感じることが多い。EVはそのような場所でも十分な加速力を発揮するという。

 関東など大都市圏ではEVが普及しているとはまだまだ言えないが、離島ならば現在手に入るEVでもかなり役に立つ。EVの性能向上に合わせて、より大きな島に環境を整備していけば、観光地のレンタカーやタクシーといった用途で活躍できるようになるだろう。

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